2011 Fiscal Year Research-status Report
大脳皮質の神経細胞分化におけるクロマチン構造制御の解明
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23700447
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
菅生 紀之 大阪大学, 生命機能研究科, 助教 (20372625)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 発生・分化 / 脳・神経 / 神経科学 |
Research Abstract |
大脳皮質形成において核内空間における染色体、クロマチンを含めた核内分子の動態は高度に制御され、細胞の振る舞いや分化の決定さらには細胞特性を維持にも重要な要因になりうる。本研究は、大脳皮質の神経細胞分化おけるクロマチン構造制御をイメージングの手法を用いて分子の核内配置と時空間的動態を詳細に解析することで明かにすることを目指している。 これまでに神経前駆細胞において塩基除去修復やDNA1本鎖切断修復に関与するXRCC1と転写伸長中であるRNAポリメラーゼが限局した核内の場で共局在することを明らかにし、DNA修復が転写と共役して神経細胞分化において何らかの機能を果たしていることを示唆している。転写とDNA修復の共役という観点から、DNA修復が転写活性化のスイッチとなる可能性としてエピジェネティックな制御であるDNA脱メチル化機構が挙げられる。しかし、神経細胞分化における機構の実態やその役割に関してはほとんど不明である。本年度の研究では、1)神経細胞分化における転写と連動したDNA修復の役割を明らかにするため、DNA脱メチル化に焦点を当て塩基除去修復酵素の動態を調べた。XRCC1と複合体を形成する酵素群に着目し、それらの核内分布を解析した。さらに、蛍光タンパク質との融合タンパク質を産生する発現ベクターを作製し、生細胞の核内で可視化することに成功した。また、2)転写の場の時空間的動態とmRNA産生量をイメージングにより計測する技術の確立の第一歩として、生細胞の核内分子を1分子レベルでイメージングすることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究を進めていく上で計画していた神経細胞分化におけるクロマチン動態解析の一つとして塩基除去修復に関与する遺伝子群を可視することが出来た。さらに、生細胞の核内分子の1分子計測に成功したことから次年度に向けて概ね目的を達成することが出来たと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策として、神経細胞分化におけるDNA修復酵素が果たす役割としてDNA脱メチル化機構を考えているが、その仮説の検証を早急に行うことが必要である。現在の研究を継続すると共に、イメージング解析に加えてノックアウト動物等による遺伝的解析を含めた解析を考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に向けて研究計画は概ね順調に進行していることから、当初の予定通りの研究費の執行を行う予定である。
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