2012 Fiscal Year Annual Research Report
新規活性評価法を用いたシャペロン介在性オートファジーの神経変性疾患への関与解明
Project/Area Number |
23700450
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
関 貴弘 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 助教 (50335650)
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Keywords | シャペロン介在性オートファジー / 脊髄小脳失調症 |
Research Abstract |
シャペロン介在性オートファジー(CMA)活性をHaloTag (HT)システムを用い細胞レベルで観察する新規実験系を確立することを試みた。CMA基質の一つであるGAPDHにHTタンパク質を融合させたGAPDH-HTを培養細胞に発現させ、GAPDH-HTの細胞質からリソソームへの移行を可視化することにより、細胞内CMA活性を1細胞レベルで観察する新規実験系の確立に成功した。また、GAPDH-HTを発現させるアデノウイルスベクターを作製し、初代培養神経細胞においてもこの実験系によりCMA活性評価が可能であることも明らかにした。 さらには脊髄小脳失調症14型(SCA14)の原因タンパク質である変異γPKCがCMA関連タンパク質であるHsc70と強く結合し、初代培養小脳プルキンエ細胞においてCMA活性を有意に減弱させることが明らかとなった。SCA14発症に変異γPKCによるCMA障害が関与することが強く示唆される。 また、別のタイプのSCAであるSCA3は疾患モデルとして変異ataxin-3トランスジェニックマウスが頻用されている。このマウスを用いてSCA3発症におけるCMAの関与を検討した。SCA3様症状が観察される40週齢において、小脳におけるCMA関連タンパク質Hsc70及びLAMP2Aの発現が有意に増大していた。これは発症前の24週齢では観察されなかったことから、SCA3発症に関連して、CMA活性が変化したことが示唆される。 タンパク質分解系は神経機能維持において重要であり、様々な神経変性疾患における分解系の異常が報告されている。しかしCMAに関しては有用な評価系がなく、神経機能や疾患発症への関与が不明だった。本研究において、2つのタイプのSCA発症にCMAが関与することが示唆された。今回開発した新規CMA活性評価系はそれら解明へのブレークスルーとなることが期待される。
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