2011 Fiscal Year Research-status Report
CAPSファミリータンパク質の生体における役割の解明
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23700454
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
定方 哲史 群馬大学, 先端科学研究指導者育成ユニット, 助教 (90391961)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | CAPS2 / BDNF |
Research Abstract |
CAPS2タンパク質が有芯小胞分泌のどのステップに関与するかを詳細に検討した。その結果、以下のことが分かってきた。(1)CAPS2はPHドメインを介してGolgi体膜に結合する。(2)CAPS2とPHドメインの結合性はC2ドメインによって制御されている。(3)CAPS2はクラスII ARFタンパク質(ARF4, ARF5)のN末に結合する。(4)CAPS2はGDP結合型のARFに結合する。(5)CAPS2とARFの結合性はCa++濃度に依存する。(6)CAPS2とARFの結合をブロックした場合、有芯小胞マーカータンパク質であるクロモグラニンはゴルジ体に集積する。(7)同様のクロモグラニン集積はCAPS2およびARFをノックダウンした場合にも起こる。(8)CAPS2をノックアウトした場合、神経細胞のゴルジ体の形態が異常になる。以上より、CAPS2タンパク質が有芯小胞のトラフィッキングに関与するメカニズムが分かってきた。この結果については、以下の論文にて報告を行った。Calcium-dependent activator protein for secretion 2 (CAPS2) interacts with the class II ARF small GTPases and regulates dense-core vesicle trafficking. Tetsushi Sadakata, Yukiko Sekine, Megumi Oka, Makoto Itakura, Masami Takahashi, Teiichi Furuichi. FEBS Journal. 279(3), p384-394 (2012)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当研究計画として以下の3項目を申請した。1) 自閉症で見られたCAPS2 exon 3 skippingマウスを解析し、自閉症様形質の発現メカニズムの解明を行う。2) CAPS1 conditional KOマウス、CAPS2 KOマウスの解析を行い、CAPSファミリータンパク質の生体における役割を解明する。3) in vitroの系や細胞株を用い、分泌顆粒の輸送・分泌におけるCAPSファミリータンパク質の役割を解明する。(3)に関しては、終了した。(1)に関しても、ほぼ終了している。(2)に関しては、進行が遅れているため、遅れを取り戻すべく努力したい。
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Strategy for Future Research Activity |
<平成24年度の研究計画と方法>平成24年度では、放出部位およびそれ以外でのCAPS2の細胞内分布とその動態、また分泌小胞の生成・調節性と構成性の分泌小胞への分別及び突起輸送・調節性と構成性の開口放出の各プロセスにおけるCAPSの役割について解析する。1)CAPS2 KOマウスとCAPS2exon3マウスに由来する初代培養ニューロンあるいはスライス培養脳標本を用いて、発現させたBDNF-GFPの細胞内分布の動態と開口放出の動態を蛍光イメージング解析する。 2)大脳特異的、小脳特異的なCAPS1 conditional KOマウスの解析を、形態学的な手法と共に、初代培養を用いた分泌アッセイ、time-lapse imagingにより輸送の解析を行う。 3)緑色蛍光タンパク質(GFP)との融合タンパク質(CAPS2-GFP)を発現させ、細胞内局在のFRAP法と、刺激依存的な動態をtime-lapse imagingによって解析する。 4)刺激前後の細胞画分におけるCAPS2タンパク質の分布と分泌小胞との会合、および相互作用するタンパク質の変化を生化学的に解析する。 5)調節性と構成性の放出への影響について、KOマウスの初代培養大脳皮質/海馬/小脳ニューロンや分化/未分化のPC12細胞に正常型CAPS2あるいはCAPS2exon3を発現させ、膜興奮抑制の有無(NBQX+TTX)下でBDNF, クロモグラニンの分泌活性を解析する。 6)結合タンパク質との結合ドメインを詳細に解析し、ペプチドにより結合阻害や、分泌への影響を捉える。また、分泌顆粒の分泌に作用することが知られているvenom等によるCAPS2依存的な分泌顆粒分泌への影響を調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
23年度に行った解剖学的解析の結果、さらに検討を行う必要が生じ、その後行う予定であった結合タンパク質の実験を24年度に行う計画に変更したため、次年度使用にする予定の研究費が生じた。
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