2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23700458
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
田中 進 (財)東京都医学総合研究所, 精神行動医学研究分野, 主席研究員 (30399472)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | オレキシン / 発現制御 / マウス / 酵母 |
Research Abstract |
睡眠覚醒制御に深く関与する神経ペプチドオレキシンの遺伝子発現は脳内視床下部外側野に限局される。その発現はオレキシンプロモーター領域内に含まれるOE1-IIと呼ばれる57bpの配列により制御される(1)。OE1-IIの5‘側より15bp程度ずつ区切り、それぞれの配列を順番に欠損させた結果、4部位全てにおいて外側野でのオレキシン発現が減弱する。この結果はそれぞれの部位特異的な結合因子の存在が示唆されるが、このOE1-II領域における遺伝子発現制御因子は未同定である。1)57bpすべてを用いた酵母One-hybridスクリーニングでは酵母内在性因子の結合による偽陽性が確認された。そのため、進化的に保存されている配列部位をゲノム中に組み込んだ酵母株を作成したのち、その配列が酵母内在性因子により認識されるを検討し、認識されない配列を見出した。2)この配列及び我々が先に見出しているオレキシン発現開始時期のマウス脳cDNAライブラリーを用いた酵母One-hybridスクリーニングを行い複数出現かつ独立したスクリーニングにおいてどちらにも出現したクローンをいくつか同定した。3)その中のクローン111は我々がすでに同定し報告していた「後天的にオレキシン神経細胞が脱落するよう改変されたTGマウスの視床下部において発現低下する転写因子」のひとつであった。この遺伝子はもともと唾液腺多形腺腫にて発現上昇する遺伝子の相同遺伝子として同定されている。6つのC2H2型Zincフィンガーモチーフを持ち核内転写制御因子として知られる。ヒトの一過性新生児糖尿病においてこの遺伝子の異常なインプリンティングが報告され、TGマウスにおいても同様の症状が発現する。この遺伝子が何をターゲットとしてこの新生児疾患を引き起こしているのかは同定されておらず、オレキシン神経細胞のグルコースセンサーとしての役割からも興味深い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度、新たにオレキシン発現制御にとって重要OE1-II領域に結合する因子を探索するためのシステムを開発することが出来た。実際にこのシステムによっていくつかの候補を見出すことが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、新たに同定した候補遺伝子のオレキシン発現制御への関与を検討していく。具体的には以下に挙げる項目を進める。1)発現時期と局在の確認2)転写因子と標的配列との結合の確認3)培養細胞での発現制御の検討4)マウス生体内での発現制御の検討
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記の研究計画を遂行するにあたり消耗品として、ハイブリ関連試薬20万円、抗体20万円、ルシフェラーゼ試薬20万円、実験動物20万円、その他試薬5万円を必要とする。また、成果報告のための旅費10万円、その他雑費5万円を必要とする。
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