2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23700458
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
田中 進 公益財団法人東京都医学総合研究所, 精神行動医学研究分野, 主席研究員 (30399472)
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Keywords | オレキシン / 転写制御 / 視床下部 / 睡眠 / 覚醒 |
Research Abstract |
昨年度同定したクローン111に関し機能解析をおこなった。 1)c111遺伝子の胎生期での発現をin situ hybridizationにより検討した。胎生期13日目のオレキシンのシグナルは陥入部と視床原基に挟まれた視床下部領域でのみ発現が観察された。c111プローブにて胎生期13日目の同一層の矢状断切片を染色した結果、同一とみなされる部位にてシグナルが観察された。胎生期13日目以前の胎児脳を染色した結果、c111のシグナルはventral hypothalamic sulcusと呼ばれる視床と視床下部の間溝に沿うように観察された。 2)c111遺伝子がII-3’ならびにOE1-II配列に結合するのかをProtein-DNA binding assay(TAKARA Bio)を用いて検討した。OE1-II配列、c111コンセンサス配列、p53コンセンサス配列(Negative control)、トリプレットII-3’配列との結合を検討し結合を確認した。 3)c111がオレキシン上流の転写活性の制御に関与するか否かをレポーターアッセイにて検討した。マウスオレキシン遺伝子上流473bp配列、各種欠損変異配列を導入し反応性を検討した。C111への反応性がdel5変異体でのみ観察された。オレキシン上流配列はファミリータンパクへの反応性を有していなかったが、del2変異体では反応性が観察された。このことからオレキシン上流配列自体がdel2領域を含む配列にて転写活性を抑制することにより、見かけ上の反応性の消失が観察されたものと考えられる。さらにその抑制をdel2変異体にて除去することによりファミリータンパクへの反応性を見ることが可能であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度、実際に同定したc111が実際にオレキシンの発現制御に関与する可能性が高いデータを取得しており、概ね当初の予定通り研究は進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
胎生期9日目における脳室近傍のシグナルがどのように移動していくのか、またいつの時期、どこの部位へ移動した後からオレキシンが発現し始めるのかを今後検討していく必要がある。 レポーターアッセイにおける欠損変異体では他の重要な部位まで欠損してしまうことにより実際の反応とは違うものを観察している可能性が高いため、今後OE-1-IIに変異を入れ、配列の長さを変えない条件において検討する必要があると考えられる。 実際に生体内で働くかどうかは示しておらず、今回同定した候補遺伝子を胎児期の脳に強制発現させオレキシン神経細胞の発現が誘導されるか否かを検討していく必要がある。また、オレキシン近傍でのシグナルを確認したのみで留まっており、2重染色による共存の証明が必要となってくる。さらには候補遺伝子のノックアウトマウスや過剰発現マウスにおけるオレキシンの発現パターンの検討が必要である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記の研究計画を遂行するにあたり消耗品として、ハイブリ関連試薬10万円、抗体20万円、ルシフェラーゼ試薬20万円、実験動物20万円、その他試薬5万円を必要とする。 また、成果報告のための旅費10万円、その他雑費5万円を必要とする。
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