2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23700467
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
任海 学 新潟大学, 脳研究所, 助教 (10401770)
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Keywords | 高次視覚野 / 上丘 / 形態視 / 視床枕 / マウス / 盲視 / 速度応答特性 / 2光子 |
Research Abstract |
本研究により、上丘-視床-大脳皮質視覚経路からの情報入力が、マウスの高次視覚野の視覚応答特性に強い影響を与えることが明らかになった。1.フラビン蛍光イメージングおよび2光子カルシウムイメージングにより、マウスの高次視覚野の神経の視覚応答特性を明らかにした。2.第一次視覚野破壊後も高次視覚野に刺激に対する反応が確認され、各領野独自の速度応答特性も残存することを明らかにした。3.上丘破壊によって高次視覚野の独自の応答特性が消失することを明らかにした。4. 発達過程でストロボ下飼育をおこなったマウスの高次視覚野速度応答特性が著しく阻害され、その動物を通常環境に戻すことにより、正常な速度応答特性に回復することを明らかにした。5. Area LI・PORおよびその側方にある新たに同定された視覚領域の刺激図形の形態・色の変化に対する反応を記録した。6. 視覚刺激形態・色変化に対する応答は、第一次視覚野破壊後も保存された。2・3の結果から、高次視覚野の速度応答特性がV1からの入力ではなく、上丘-視床を経由する視覚経路に由来することが明らかになった。このことは、高次視覚野の機能獲得機構の研究に対して、重要な意味を持つ。一般に高次視覚野の反応特性は第一次視覚野からの情報入力に基づくものと考えられてきたが、各高次視覚野の特定の視覚情報処理に特化した機能がどのように獲得されるか、ほとんど解明されていなかった。本研究は、少なくともマウスにおいて、各高次視覚野の応答特性が上丘を介する視覚経路により作られることが明らかになった。5の結果は霊長類においてよく知られている形態視機能を、マウスにおいて初めて明らかにした。6の結果により、その機能が上丘系視覚経路と強く関わっていることがしめされた。これらの結果は、高次視覚野機能の神経基盤の解明に大きく貢献するものである。
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