2012 Fiscal Year Annual Research Report
発生期の生理的低酸素での幹細胞から神経系への分化誘導とその分化機構の解明
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23700471
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
三角 吉代 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70529148)
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Keywords | オリゴデンドロサイト / iPS細胞 / 低酸素 / 細胞移植 / 脳室周囲白質障害 |
Research Abstract |
本研究の目的は、発生時の生理的条件である低酸素条件に注目し、オリゴデンドロサイト(OLG)への効率的な分化誘導法の検討、低酸素条件下でのオリゴデンドロサイト前駆細胞(OPC)の分裂/分化への影響と細胞内機構の解明、細胞磁気選別法(MACS)により腫瘍化しうる未分化細胞の除去等を行う事により、幹細胞を用いた細胞療法の課題に取り組むことである。本年度は、ドナー細胞の感染リスク低下を目指し、無血清培地を用いたiPS細胞からのOPC分化誘導法の確立、低酸素条件下でのOPC増殖についての検討、脳室周囲白質障害モデル動物脳への細胞移植を行った。 無血清培地下でのマウスiPS細胞からOLGへの7段階法による分化誘導において、①胚葉形成時(第2段階)に外胚葉の遺伝子発現(FGF5,nestin)が増加し、神経系への分化が促進された。②O4陽性の未熟OLG(24.4%)、MBP陽性の成熟OLGへの分化が確認できた。③電気生理学的実験により、オリゴデンドロサイトに特徴的な内向き整流性Kチャネルを発現している機能的細胞であることが証明された。また、iPS由来OPCを3.5%酸素下で培養したところ、④細胞増殖が2倍に促進されたが(BrdU取込み測定)、分化成熟度には影響しなかった。 In vivo での効果をみるために、脳室周囲白質障害モデル動物脳への細胞移植を行った。⑤生後5日のラット脳(脳梁)にiPS由来OPCを移植すると、二週間後にその生存が確認でき、長期の生存と分化のためには栄養因子等の処置が必要あることが示された。 以上の結果より、無血清培地下、低酸素条件下の培養により、安全でより効率的なドナー細胞(iPS由来OPC)の確保が可能であり、移植後の機能再生への可能性が期待できる。
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Research Products
(4 results)