2012 Fiscal Year Research-status Report
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23700473
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
石川 太郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (50547916)
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Keywords | ニューロン / シナプス / 神経回路 |
Research Abstract |
本研究ではラットの小脳半球の背側傍片葉(dorsal paraflocculus)の顆粒細胞およびプルキンエ細胞における視覚誘発性応答を精査し,視覚刺激を用いて平行線維プルキンエ細胞間のシナプス可塑性を誘導することを目指している.また,この系により視覚野を含む大脳皮質と小脳の連関を明らかにすることもこの研究の意義である.前年(平成23年)度においては,視覚刺激および大脳皮質電気刺激による小脳プルキンエ細胞の応答を探索した. これに引き続き,平成24年度は,プルキンエ細胞から効率良くユニット記録を行うための多チャンネル記録装置を導入してデータ取得を継続した.更に,小脳顆粒細胞と大脳皮質活動の同期性を検証し,4~5Hzのいわゆるシータ域帯において同期が見られることを明らかにした.また,大脳と小脳の中継核である橋核の細胞においても同様の域帯での同期が見られた.単一細胞からの細胞内記録法を用いて,上記の知見を得たことは新規の発見である. 今後はプルキンエ細胞の記録を継続してデータ取得および解析するとともに,大脳皮質活動と小脳皮質細胞の活動の連関を精査していく.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでの実験結果から,研究項目の「登上線維入力を惹起する感覚刺激の同定」においては当初の想定以上に複雑な視覚刺激パターンの提示が必要であることが分かってきた.このため,視覚刺激装置の最適化に時間を要している.結果として,プルキンエ細胞におけるシナプス可塑性を誘導する課題においては進捗が遅れている.一方で,小脳顆粒細胞におけるシナプス入力について,大脳皮質活動との同期という興味深い新規の知見が得られている.
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Strategy for Future Research Activity |
プルキンエ細胞における,複雑スパイクと単純スパイクを特異的に誘発する視覚刺激パターンの探索を継続する.多チャンネル記録装置の導入は完了したので,これを用いてデータの取得と解析を加速する.また,小脳の視覚応答と,大脳皮質の周期的活動との関連を明らかにする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究項目の「登上線維入力を惹起する感覚刺激の同定」において,進捗が遅れているため,平成25年度にも研究を繰り越して行う.未使用残額は,そのための実験動物および試薬の購入のための経費に充てる.
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