2012 Fiscal Year Annual Research Report
中枢シナプス前末端Caチャネル密度と単一チャネルコンダクタンスの生後発達変化
Project/Area Number |
23700474
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
中村 行宏 同志社大学, 研究開発推進機構, 研究員 (40460696)
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Keywords | 脳・神経 / 神経科学 / シナプス / Caチャネル / プレシナプス / 生理学 / 共焦点顕微鏡 / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
①局所Ca光学測定によるCaチャネル密度の推定:calyx of Heldシナプス前末端にCa感受性色素を注入し、活動電位によって誘発されるCa一過性上昇を高時間分解能(100kHz)の共焦点顕微鏡点スキャンで観察した。記録したCa 一過性上昇の振幅および時間経過を細胞内Caの拡散シミュレーションを用いて再現することで、まずシナプス前末端の開口放出部位局所に存在するCaバッファーの性質を明らかにした。このCaバッファーの分子実体は不明だが、その性質は聴覚の獲得を伴う生後発達の前後で変化しないことが明らかになった。続いてシナプス前末端放出部位近傍で開口するCaチャネル数を明らかにした。共焦点スポット内で活動電位によって開口するCaチャネルの数は、生後7日齢のシナプス前末端では約13個であると推定された。生後14日では約11個であり、局所Caチャネル密度は生後発達の段階では大きく変化しないことが明らかになった。 ②生後発達に伴うCaチャネルサブタイプ変化の生理学的な意義:Caチャネルと開口放出機構の距離は、シナプス前末端に注入したCaキレーターEGTAのシナプス伝達に対する作用に基づいて推定できる。生後7日齢ではEGTAはシナプス伝達を70%抑制したが、生後13~21齢における抑制率は50%に減少した。このことはCaチャネルと開口放出機構の距離が聴覚の獲得による生後発達に伴って短縮することを示唆する。この生後発達変化にシナプス前末端に発現するCaチャネルサブタイプの変化が関与するかを調べるため、生後7日齢シナプスにおいてP型、N型、R型各Caチャネルの阻害剤の存在下でEGTAの作用を検討した。EGTAのシナプス伝達抑制作用は、Caチャネル非存在下と同一であったため、Caチャネルサブタイプ変化は、Caチャネルと開口放出機構の距離短縮の原因ではないことが示された。
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Research Products
(6 results)