2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23700477
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
平田 普三 国立遺伝学研究所, 新分野創造センター, 准教授 (60402450)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 感覚ニューロン |
Research Abstract |
研究代表者は逃避運動に異常のある新規のゼブラフィッシュ変異体を単離することに成功した。正常なゼブラフィッシュ個体をピンセットでつつくなど、侵害刺激を与えると1日齢だと尾を左右に数回振る、2日齢だと泳いで逃げるという逃避運動をするが、本研究プロジェクトで研究代表者が単離した変異体は1日齢でも2日齢でも侵害刺激に全く応答せず、逃避運動は見られなかった。正常なゼブラフィッシュは円形の水槽をかき回して水流を作ると流されないように流れに逆らって泳ぐ性質を有するが、変異体でもこれを行うと流れに逆らって泳ぐことができた。このことから、変異体は侵害刺激のような体性感覚の受容、すなわち感覚ニューロンに異常があると予想されるものの、泳動に必要な運動神経回路、すなわち中枢神経系による情報処理と運動出力、さらに筋機能は正常であることが分かった。次に変異体の責任遺伝子を同定する目的で遺伝的に遠い系統のゼブラフィッシュと交配してF2世代を作りマッピングを行った。まず、214種類のマイクロサテライトマーカーを用いたラフなマッピングを行い、変異体の責任遺伝子が第21番染色体上にあることを突き止めた。さらにゲノム上に見つかるGCリピートなどの繰り返し配列に注目してマイクロサテライトマーカーをデザインして詳細なマッピングを行い、第21番染色体上の2つのBAC(CU550703, BX247869)にまたがる 126 kbの領域に責任領域を狭めた。その領域にはモーター分子であるキネシン、タンパク分解に関わるユビキチンリガーゼ、分泌性リガンドであるフォリスタチンの3つの遺伝子が見つかった。変異体でこれら遺伝子に変異がないかをcDNAクローニング、シークエンスで確認しているが、現在までにフォリスタチンには変異がないことが確認できており、キネシン、ユビキチンリガーゼのどちらかには変異があると予想している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では平成23年度に変異体を単離し、平成24年度にその変異体を解析してマッピング、クローニング、シークエンス解析で責任遺伝子を同定し、1遺伝子の異常による感覚受容異常の全容を明らかにすることを目指している。平成23年度は変異体の単離に成功して年度目標を達成しただけでなく、平成24年度に遂行する予定の変異体の解析を前倒しして始め、マッピングを進めた。これまでにマッピングは終了し、変異体の責任領域を126 kbという十分小さいゲノム領域に狭めることに成功した。さらに、その責任領域に3つある候補遺伝子のうち1つはクローニング、シークエンスを終了してハズレであることをすでに確認しており、本研究プロジェクトの最大の山場である変異体の責任遺伝子同定は残り2つの候補にしぼられ、同定は間近であると言える。以上の研究進捗状況から判断して、本研究プロジェクトは当初の計画以上に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度はマッピング、クローニング、シークエンスを行い責任遺伝子を同定し、その遺伝子次第だが、遺伝子の機能を解析することで、1遺伝子の異常による感覚受容異常の全容を明らかにすることを目指す予定だったが、マッピングまではすでに終了している。平成24年度の研究の推進方策としては、まず、2つにしぼられた候補遺伝子をそれぞれ正常個体、変異体からクローニング、シークエンスして、責任遺伝子を同定する。変異が同定されたら、当該遺伝子のmRNAをin vitroで合成してそれを変異体にインジェクションで導入することで表現系の回復を行う。また、正常個体に当該遺伝子のアンチセンスモルフォリノオリゴヌクレオチドを導入して表現系のコピーを試みる。これらが成功すれば当該遺伝子が変異体の責任遺伝子であることを必要十分に確かめられることになる。次にコード領域全長をプローブに用いてin situ hybridizationをすることで、当該遺伝子の時空間的発現を確認する。変異体は一次感覚ニューロンであるRohon-Beardニューロンに異常があると予想されるので、当該遺伝子はRohon-Beardニューロンに発現すると予想されるので、これを確認したい。他の解析は責任遺伝子がキネシンであるか、ユビキチンリガーゼであるかによって異なる。責任遺伝子がキネシンであるなら、これはモータータンパクであり何らかの分子や細胞内小器官を適正綱場所に運搬することに寄与するはずなので、そのターゲットを同定する。責任遺伝子がユビキチンリガーゼであるなら、これはタンパク分解に関わるので、その分解基質を同定する。一般的には複合体精製、あるいは酵母ツーハイブリッド法による結合分子同定を考えている。責任遺伝子がいずれであれ、責任遺伝子がRohon-Beardニューロンでなにをするのかを明らかにし、感覚受容異常の分子原理を解明する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
クローニング、シークエンス、表現系の回復実験、コピー実験、in situ hybridizationなど、実験に必要な試薬を購入する。また、チップやチューブなどのプラスチック製品を購入する。他にはゼブラフィッシュの飼育に必要なエサや水槽のフィルターなどを購入することを計画している。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Connexin39.9 is necessary for coordinated activation of slow-twitch muscle and normal behavior in zebrafish.2012
Author(s)
Hirata, H., Wen, H., Kawakami, Y., Naganawa, Y., Ogino, K., Yamada, K., Saint-Amant, L., Low, S. E., Cui, W. W., Zhou, W., Sprague, S. M., Asakawa, K., Muto, A. et al.
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Journal Title
J. Biol. Chem.
Volume: 287
Pages: 1080-1089
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] TRPM7 is required within zebrafish sensory neurons for the activation of touch-evoked escape behaviors.2011
Author(s)
Low, S. E., Amburgey, K., Horstick, E., Linsley, J., Sprague, S. M., Cui, W. W., Zhou, W., Hirata, H., Saint-Amant, L. and Kuwada, J. Y.
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Journal Title
J. Neurosci.
Volume: 31
Pages: 11633-11644
Peer Reviewed
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[Journal Article] Duplicated gephyrin genes showing distinct tissue distribution and alternative splicing patterns mediate Moco biosynthesis, glycine receptor clustering and escape behavior in zebrafish.2011
Author(s)
Ogino, K., Ramsden, S. L., Keib, N., Schwarz, G., Harvey, R. J. and Hirata, H.
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Journal Title
J. Biol. Chem.
Volume: 286
Pages: 806-817
Peer Reviewed
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