2011 Fiscal Year Research-status Report
3次元電流密度源解析法による大脳新皮質局所神経回路情報の定量化
Project/Area Number |
23700492
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
後藤 太邦 東北大学, 加齢医学研究所, 教育研究支援者 (40447181)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | 大脳新皮質 / 電流密度解析法 / 体積導体モデル / ラットバレル野 |
Research Abstract |
本年度では,まず我々が開発した3次元体積空間で電流密度分布を推定する体積的電流密度解析法(VCSD法)の実データ適用可能性の評価を行った.本評価はノイズ耐性と,VCSD法の特徴の一つである大脳新皮質電気伝導率分布実測値から作成された体積導体モデルが推定精度に及ぼす影響の2つの点で行われた.ノイズ耐性評価では,まず標準体積導体モデルを用いてモデル電流密度分布から電位分布を計算した後,一定の割合のガウスノイズを印加することでノイズ付電位分布を用意した.その後この電位分布対してVCSD法および従来法を適用して電流密度分布を推定し,モデルとの誤差を比較した.また,体積導体モデルの影響評価では,ノイズ耐性評価と同様の電位分布シミュレーションに実測値から作成した体積導体モデルを使用し,その電位分布に対して同じ実測体積導体モデルを使用したVCSD法と,従来用いられてきた均質体積導体モデルを使用したVCSD法を適用して電流密度分布の推定誤差を比較した.双方の評価でVCSD法は従来法と比較して良好な性能を示し,VCSD法の実データへの有効性を示す事ができた. 次に,VCSD法を単一ヒゲ刺激時におけるラットバレル野の事象関連電位に適用し,推定したヒゲ刺激起因の電流密度分布からラットの対応バレル野の位置,形状の特定を行った.その結果,刺激したヒゲに対応するバレルを80%以上の精度で推定する事に成功した.通常バレルの位置は電気生理記録終了後に組織染色を行うことで確認する.一方,本方法を用いれば,バレルの位置,形状を組織染色無しで特定することができ,慢性的に埋め込まれた電極から得られたデータの解析に空間情報を精度高く含めることができる.本結果は研究計画のD1およびD2に対応し,その成果として,ヒゲ刺激対応バレルの脳情報の時空間的定量化の一助となることが期待できる.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究計画では当初刺激電極の位置を推定するところから開始する予定であったが,実現可能性及び進行速度を考慮に入れ,感覚刺激を主体とした実験から開始することに決定した.本結果よりバレルの空間情報特定という成果を得ることができた一方,電気刺激応答に関しては本年度は評価段階に留まった.主な原因は得られた成果の論文化にあたり,2カ所の論文誌から不採択されたため,論文書き直しのための再実験および追加シミュレーションにより計画に遅延が出たことに依る.本論文は次年度4月若しくは5月初頭に再投稿の予定である.
|
Strategy for Future Research Activity |
研究費使用中止のため,本研究課題の遂行は本年度を以って終了した.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費使用中止のため,次年度研究費の使用予定は無い.
|
Research Products
(3 results)