2011 Fiscal Year Research-status Report
脳波及び脳磁図からの意図時刻推定による意図関連脳活動の抽出とBCIへの応用
Project/Area Number |
23700499
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Research Institution | Advanced Telecommunications Research Institute International |
Principal Investigator |
武田 祐輔 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 脳情報通信総合研究所, 専任研究員 (60505981)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 脳波 / 脳磁図 / fMRI / 意図 / 想像 / BCI |
Research Abstract |
本研究では、ヒトの脳波及び脳磁図から、意図時刻を推定することにより、意図に関連した脳活動の時空間パターンを抽出し、ブレイン‐コンピュータ・インタフェース(BCI)の意図識別に役立てることを目的とする。 初年度である平成23年度には、ヒトの脳波及び脳磁図から意図に関連した脳活動の時空間パターンを抽出するため、動作を意図している時の脳波、脳磁図を計測した。また、脳波、脳磁図から電流源推定する際に空間情報として利用するために、fMRIも計測した。 実験参加の同意を得た健常な成人に対して実験を行った。右手又は左手の人差し指伸展運動を想像している時の脳活動を、脳波、脳磁図、fMRIで別々に計測した。脳波計測はBiosemi社製のActive Two systemを、脳磁図計測は横河電機株式会社製,脳磁計測装置PQ1400RMを用いて各条件につき100試行行った。fMRI計測はSiemens製 MAGNETOM Trio, A Tim System (3T)を用いて行った。各条件につき15秒のタスクと安静を12回繰り返した。 脳波・脳磁図のオフライン解析では、右手運動想像時と左手運動想像時の加算平均波形を比較することによって、意図に関連した脳活動成分がデータに含まれていることを確認した。さらに脳波解析では、機械学習の手法を用いて被験者がどちらの手の運動を想像したか脳波データから判別できるか調べた。結果、判別は可能であり、計測データに意図に関連した脳活動成分が高い信号-ノイズ比で含まれていることが確認できた。これにより、計測したデータが本研究の解析対象として妥当であることが確認された。 これらの成果により、平成24年度以降に、計測した脳波及び脳磁図から、意図に関連した脳活動の時空間パターンを抽出することが可能になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した「研究実施計画」の通りに、平成23年度には、脳波・脳磁図・fMRI実験を行い、動作を意図している際の脳活動データの計測及びデータの有効性の検証を完了している。従って、順調に進展しているとみなすことができる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度には、平成23年度に計測した動作を意図している際の脳波・脳磁図に、申請者らが提案した波形推定手法(Takeda et al., 2010)を適用する。そして、キュー刺激呈示後に様々な遅れ時間で生じる内的な脳活動に関わる波形を抽出する。 平成25年度には、平成24年度に抽出した脳波・脳磁図の波形の性質を多面的に調査することで、動作の意図に関連する波形を特定する。さらに、波形の電流源推定を行うことで、動作の意図に関連する脳活動を明らかにする。 平成26年度には、平成25年度までに得られた知見をもとにして、ブレイン‐コンピュータ・インタフェース(BCI)において、被験者の意図を高い精度で推定する手法を開発する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度には、動作を意図している際の脳波・脳磁図に、申請者らが提案した波形推定手法(Takeda et al., 2010)を適用し、キュー刺激呈示後に様々な遅れ時間で生じる内的な脳活動に関わる波形を抽出する。この際に、非常に難解な最適化問題を解く必要がある。そのため、平成23年度に購入したGPGPUシステムの性能を効果的に発揮し計算を高速化するために必要なソフトウェアJacket(146,000円)を購入する予定である。 また、追加実験が必要な場合には、被験者謝金(一人あたり8,000円)や脳磁図計使用料(1.5時間あたり168,000円)に研究費を使用する予定である。
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