2011 Fiscal Year Research-status Report
内生的な好みに基づく意思決定における前頭前野と大脳基底核の働きの解明
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23700504
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
横山 修 玉川大学, 脳科学研究所, グローバルCОE研究員 (60455409)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 前頭前野 / サル / 報酬 / 意思決定 / 選択 / 単一神経細胞活動 / 局所場電位 |
Research Abstract |
平成23年度は、内生的な好みに基づく意思決定(選択)課題を遂行中の2頭のサルの外側前頭前野から、単一神経細胞活動(Single-Unit Activity; SUA)および局所場電位(Local Field Potential; LFP)を最大64チャンネルで同時に記録し、それらが意思決定に関わる変数をどのようにコードしているかを検討した。まずサルの選択パターンを解析したところ、選択は報酬の種類(味)、選択対象の位置(運動の方向)、および視覚刺激の色によって影響を受けていることが明らかになった。記録した上記の神経活動は、それらの意思決定関連変数をさまざまな組み合わせでコードしていた。前頭前野が重要な役割を果たすと考えられている目的指向的行動を駆動する報酬の種類の表現に注目したところ、内生的な好みに基づく意思決定課題では、コントロール課題として用いた、外部からの指示に従って選択を行なう課題とは異なる神経細胞集団が主に関わっていることが分かった。LFPの結果も同様であった。これらの結果は、外側前頭前野内でも、被験体の内生的な好みに基づいて主体的に行動する場合は、外部からの指示に従って行動する場合とは主に異なる神経細胞集団・回路が寄与していることを示唆する。さらに、各SUAが選択する報酬に関する情報を表現している時間は数十ミリ秒程度と一過的であり、その時間は、選択肢である視覚刺激の呈示から反応(眼球運動)までの間に広く分布していた。一方、各SUAが選択対象の位置(運動の方向)をコードしている時間は比較的長く、はじめにコードしてから反応までの数百ミリ秒間に渡ることも多かった。この結果は、行動の目的(この場合は報酬の種類)という目に見えない情報の外側前頭前野における表現方法は、空間的情報のそれとは異なることを示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の目的は、内生的な好みに基づく意思決定における外側前頭前野および大脳基底核の働きを明らかにすることである。外側前頭前野に関しては、2頭の被験体から神経活動データを記録し、解析が進んでいる。意思決定関連変数の表現について、特徴付けを進展させることができた。しかし、当初の計画では平成23年度内に外側前頭前野に加えて大脳基底核からの神経活動記録も開始するとしていたが、開始が遅れている。また、深さ方向に16個のチャンネルを持つ多点電極を用いる利点を生かすために、LFPのCurrent Source Density (CSD) 解析を行ない、皮質層の推定を試みるとしていたが、今のところはあまり成功していない。その理由としては、外側前頭前野は主溝を中心として脳回が背側および腹側に盛り上がっているので、皮質層に対して電極が垂直に近い角度で入るのが難しいためと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、外側前頭前野に加えて大脳基底核から神経活動を記録し、外側前頭前野の神経活動との比較、およびそれらの間の相互関係を調べる予定である。本来、平成23年度のうちに大脳基底核からの神経活動記録を開始する予定であったので、できるだけ早い時期に、チャンバーの付け替え手術を行ない、開始する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費は主に実験関係用品(電極を含む神経活動記録用器具、動物用薬品等)、データ解析関係用品(PC関係用品)など主に消耗品費として使用する予定である。
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