2012 Fiscal Year Annual Research Report
腸内細菌叢による炎症性腸疾患修飾におけるPRRとサイトカインの役割の解析
Project/Area Number |
23700508
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
唐 策 東京理科大学, 生命医科学研究所, 助教 (00572166)
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Keywords | C型レクチン / 腸内細菌叢 / サイトカイン / 炎症性腸疾患 / 遺伝子欠損マウス |
Research Abstract |
消化管に原因不明の炎症を引き起こす炎症性腸疾患や大腸がんの予防法及び新たな治療法の開発が強く求められている。申請者は、βグルカン受容体Dectin-1に注目し、炎症性腸疾患および腸管ポリープ形成修飾における腸管内細菌叢のDectin-1を介したシグナルと自然免疫および獲得免疫系調節機構の解明を目指した。 平成23年度にDectin-1遺伝子欠損マウスに急性大腸炎を誘導し、急性大腸炎の発症程度が野生型マウスより減軽することを確認した。メタゲノム解析法で野生型マウスに比べDectin-1欠損マウスの腸内細菌叢の中にグラム陰性細菌の割合が亢進していることが分かって、増加した細菌はDectin-1下流に誘導されている抗菌ペプチドレベル変化と関係することも明らかとなった。Dectin-1のアンタゴニスト糖鎖物質の投与実験を行い、Dectin-1を標的とした急性大腸炎の予防法は効果があることを明らかにした。 平成23年度に得られた結果を基にして、平成24年度に急性大腸炎と異なる獲得免疫系のTh細胞の分化と増殖が発症要因とした慢性大腸炎の発症におけるDectin-1の役割を検討し、Dectin-1の欠損宿主でnaiveT細胞から制御性T細胞、Th17細胞への分化が顕著に亢進し、Th1細胞への分化が低下したことが分かった。それは原因でDectn-1欠損マウスの慢性大腸炎の発症が軽減し、Dectin-1は腸管Th細胞分化のバランスを制御していることが明らかとなった。ApcMin-Dectin-1欠損マウスを作出し、腸管ポリープ形成におけるDectin-1の機能ついて検討したところ、Dectin-1欠損によってポリープの形成は著しく亢進していたことが分かった。Dectin-1リガンド物質を投与し、腸管ポリープ・腫瘍形成の抑制効果を検討し、現在まで有意な予防・治療効果がまだ再確認する必要がある。
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Research Products
(1 results)