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2011 Fiscal Year Research-status Report

精神疾患モデルとしての糖鎖遺伝子改変マウスの解析

Research Project

Project/Area Number 23700509
Research InstitutionKanazawa University

Principal Investigator

吉原 亨  金沢大学, 子どものこころの発達研究センター, 助教 (00401935)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2014-03-31
Keywordsマウス / 行動解析 / 精神疾患モデル / 糖鎖
Research Abstract

2011年度は下記の3系統の糖鎖形成に関わる遺伝子改変マウスについて行動解析と生化学的解析を実施した.【β4GalT-2欠損マウス/GlcAT-P欠損マウスの行動解析】複合型N型糖鎖形成に関わる,β4GalT-2とGlcAT-Pの各々の欠損マウスについて,他個体に対する社会性行動と注意機能の測定(プレパルスインヒビションテスト:PPI)を実施した.その結果,各々の遺伝子欠損マウスが特に新奇個体に対する探索行動の増加と注意機能の障害を持つことを見出した.予備的な検討からは,活動性の亢進と新奇物体に対する接近が増大することも見出しており,これらの行動特性がヒトの精神疾患とどのような関連性を持つのか検討を継続している.【β4GalT-5欠損マウスの基本的行動解析】糖脂質の生合成に関わるβ4GalT-5を脳特異的に欠損させたマウスを対象として,12課題からなるテストバッテリー方式の行動解析を実施した.その結果,1)ホームケージ活動量の顕著な低下,2)オープンフィールドテストにおける高活動性,3)PPIにおける注意機能の障害を見出すことができた.すなわち,脳特異的β4GalT-5欠損マウスは注意機能の障害に基づいた新奇環境での過活動性を持つこと示唆され,自閉症やADHDなどの注意機能や活動性障害を内包する精神疾患のモデルとして何らかの有用性を持つ可能性が示された.【β4GalT-5欠損マウスの生化学的解析】出生直後から成体期に至るまでのマウス全脳を用いて,β4GalT-5の発現様式を定量的RT-PCRにより確認した.その結果β4GalT-5は出生直後に発現が最も高く,その後成体期にかけて漸次発現が減少していたことから,β4GalT-5欠損マウスの行動特性は特に発達期での障害に可能性が推測される.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

以下の点において,当初の研究計画以上に進展している.【脳特異的β4GalT-5欠損マウスの神経系細胞における遺伝子発現の異常】出生直後から成体に至るまでの脳特異的β4GalT-5欠損マウスの全脳サンプルを用いて,ニューロン,アストロサイト,オリゴデンドロサイトでの遺伝子発現の変動を定量的RT-PCR法により検討した.その結果,この欠損マウスでは成熟したオリゴデンドロサイトで発現するミエリン塩基性タンパク(MBP)の発現が顕著に高い状態にあることを確認した.脳内での糖脂質は特にミエリン鞘に多く含有されていることから,β4GalT-5はミエリン鞘の形成にとって重要な因子であることが示唆される.今後ミエリン鞘の形成異常やそれによる神経連絡の異常が行動異常とどのように関連するか検討を行う予定である.

Strategy for Future Research Activity

2012年度以降の研究計画としては,各遺伝子改変マウスでのより詳細な行動解析を実施すると共に,行動特性の基盤となる物質的変化を検討して,精神疾患モデルとしての妥当性をさらに確認していく予定である.【β4GalT-2欠損マウス/GlcAT-P欠損マウス】これらのマウスの行動特性について,特に注意機能に関わる脳領域,神経伝達物質について組織学的,生化学的な解析を行う.その候補としては,中脳-辺縁系,中脳-皮質系を中心としたドーパミン系を想定している.【脳特異的β4GalT-5欠損マウス】このマウスでは新奇環境での過活動性と注意機能の障害を見出している.前述の遺伝子改変マウスと同様に注意機能に関わる脳領域,神経伝達物質について組織学的,生化学的な解析を行う.また,オリゴデンドロサイトでの遺伝子発現の異常が確認されてたことから,オリゴデンドロサイトの分化異常やミエリン鞘の形成異常についても確認を行う.

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

前年2011年度は主に既存の行動実験の装置を用いた実験を行ったため,本年2012年度に研究費を持ち越した.行動実験について新たな装置の導入は今のところ予定になく,本年度研究費の多くは,組織学的,生化学的解析に必要な試薬の購入に充てる.具体的には免疫染色用の抗体や定量的RT-PCR用の酵素類を想定している.また,網羅的な遺伝子発現の変動を検討する目的で,マイクロアレイを用いた解析に研究費を使用する予定である.加えて,非常に多様な遺伝子改変マウスを飼育・維持しなければならないため,動物飼育用の消耗品に研究費を充てる.

  • Research Products

    (3 results)

All 2012 2011

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] Glycoprotein hyposialylation gives rise to a nephrotic-like syndrome that is prevented by sialic acid administration in GNE V572L point-mutant mice.2012

    • Author(s)
      Ito M, Sugihara K, Asaka T, Toyama T, Yoshihara T, Furuichi K, Wada T, Asano M.
    • Journal Title

      PLoS One

      Volume: 7(1) Pages: e29873

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0029873

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Specific enzyme complex of beta-1,4-galactosyltransferase-II and glucuronyltransferase-P facilitates biosynthesis of N-linked human natural killer-1 (HNK-1) carbohydrate.2011

    • Author(s)
      Kouno T, Kizuka Y, Nakagawa N, Yoshihara T, Asano M, Oka S.
    • Journal Title

      J Biol Chem.

      Volume: 286(36) Pages: 31337-31346

    • DOI

      10.1074/jbc.M111.233353

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 行動テストバッテリーによる神経特異的β4GalT-5欠損マウスの高次脳機能の解析2011

    • Author(s)
      鈴木紘史・吉原 亨・西江敏和・引持陽子・神村栄吉・浅野雅秀
    • Organizer
      第34回日本分子生物学会年会
    • Place of Presentation
      パシフィコ横浜(神奈川県)
    • Year and Date
      2011年12月15日

URL: 

Published: 2013-07-10  

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