2012 Fiscal Year Annual Research Report
マウス個体における人工染色体を用いた新たな遺伝子機能解析システムの開発
Project/Area Number |
23700519
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Research Institution | 公益財団法人かずさDNA 研究所 |
Principal Investigator |
岡村 佳明 公益財団法人かずさDNA研究所, ヒトゲノム研究部, プロジェクト研究員 (90569831)
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Keywords | ヒト人工染色体 |
Research Abstract |
ヒト人工染色体(HAC; Human Artificial Chromosome)は、セントロメア領域由来反復DNA配列(アルフォイドDNA)を持つ染色体ベクターであり、宿主染色体とは独立かつ安定的に分配・維持される。アルフォイドDNAの繰り返し単位中にtetO配列を組込んだ合成アルフォイドDNAからなるHAC(tetO-HAC)に、転写サイレンサーtTSを結合させ、HAC上にヘテロクロマチン化を過剰に誘導すると、キネトコア構造が破壊され、細胞増殖と共に急速に細胞から脱落していくことが当研究グループにより証明されている。本研究は、脱落制御可能なtetO-HACを保有するマウス個体を作製・解析することで、新たな遺伝子機能解析手法の開発を目指したマウス個体におけるtetO-HACの性状解析を目的とする。本年度は、マーカー遺伝子発現カセット搭載tetO-HACを他の細胞へtransferすることを進めた。また、新規に作製された遺伝子発現カセット搭載可能なtetO-HAC上のCAGプロモーターからGFPもしくはtTS-EYFPを発現する株をそれぞれ複数得た。これまでに得られているtTS-EYFP発現カセット搭載tetO-HACにおいては、Dox非存在下で結合を誘導した場合にtetO-HACの脱落が確認された。これらの研究を通じて、遺伝子発現カセットの挿入がtetO-HACの脱落制御に影響を及ぼさないことだけでなく、tetO-HACから発現するtTSにより自己脱落制御も可能であるというtetO-HACの新たな性質が明らかとなった。今後はマーカー遺伝子発現カセット搭載tetO-HAC保有マウス個体を作製し、tTS発現トランスジェニックマウスと掛合わせる事で、マウス個体内でのtetO-HACの脱落制御とHACに搭載したマーカー遺伝子の発現との相関を詳細に調べていく。
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