2011 Fiscal Year Research-status Report
スペクトル光干渉断層計による皮膚深部のリアルタイム組織弾性断層画像化の検討
Project/Area Number |
23700525
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
渡部 裕輝 山形大学, 理工学研究科, 准教授 (00333328)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | OCT / GPU / エラストグラフィ |
Research Abstract |
本研究では従来より皮膚深部組織を測定するため,長波長域のスペクトルドメイン光干渉断層計(OCT)システムを構築し,さらに皮膚診断を目的とした組織弾性を画像化するOCTエラストグラフィを開発する.今年度は中心波長の異なる2つのスーパールミネッセントダイオード(SLD)モジュール(中心波長1550nm,1650nm)をファイバカップラにより合成した広帯域な光源を用い,1.6um帯スペクトルドメインOCTを構築した.2つの光源を合成したことにより,スペクトル形状がガウス関数でないので,従来の画像処理にガウス形状処理を加えた.空気中の深さ方向分解能を評価した結果,理論値11.9umで実測値12.5umとほぼ等しい値が得られ,組織内では10μm以下分解能が得られる.また横方向は17.5umの空間分解能であった.またOCT画像をリアルタイムにモニターするため,安価に並列処理が実行できるGPU(graphics processing unit)プログラミングによる画像処理技術を開発した.処理の流れは,干渉データをGPUメモリへ転送後,GPU内で浮動小数点への変換(型変換),ガウス形状処理,波数軸への変換(軸変換),フーリエ変換,光強度の計算を行い,得られた光強度分布をGPU側からPCのメインメモリへ転送である.これにより構造情報がリアルタイムに得られた.本システムにより皮膚を計測した結果,表皮、真皮、汗腺の構造がはっきりと確認できた.長波長では深くまで計測できるが水による光吸収が大きいため、歯など水分の少ない試料での計測がさらに有効であると思われる
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
長波長域OCTシステムとして,波長1.6um帯の合成光源,1.6um帯の光ファイバ干渉計,計測制御用コンピュータ環境の開発は達成できたといえる.評価した結果,組織内の深さ方向分解能は10um程度であり,予定通りといえる.GPUプログラムを開発し,リアルタイムに構造情報の断層画像が得られることを確認した.しかし弾性画像を得るためのリングアクチュエータ機構の製作は,まだ不十分で,改良が必要であった.
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Strategy for Future Research Activity |
弾性画像を得る方法を重点的に検討する.弾性情報測定ではガルバノスキャナによりプローブ光の走査を行いながら,リングアクチュエータで,サンプルへ微小な変位を与える.このときの位相の変化より,弾性画像をえる.位相が安定して求められない場合は,干渉信号の平均化などを試みる.測定対象としては,固さの異なるシリコンゴムや人工皮膚を用いて,測定の条件の最適化を行い,弾性情報の定量的な評価を行う.さらにはヒトの皮膚における弾性・断層計測を行い,有効性や可能性を検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
構造情報に加え弾性情報をリアルタイムに描画するには,これまでより高速演算可能なGPUを導入する.またハンドヘルド小型プローブを開発するため,二軸ガルバノスキャナを導入する.旅費等は、研究成果を発信していくため,年2回の国内発表、国際会議と論文の研究成果発表を予定している.
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Research Products
(6 results)