2012 Fiscal Year Annual Research Report
酸素放出過程を含めた微小血管レベルでのナノ粒子人工赤血球の流動ダイナミクス
Project/Area Number |
23700527
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
百武 徹 横浜国立大学, 工学研究院, 准教授 (20335582)
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Keywords | 微小循環 / 格子ボルツマン法 / 人工赤血球 / 埋め込み境界法 / 酸素輸送 |
Research Abstract |
2次元モデルによる微小血管内における赤血球および人工赤血球の挙動解析, および,3次元モデルによるヘモグロビンと酸素の化学反応を考慮した微小血管における人工赤血球および酸素の濃度拡散の数値解析を行い,以下の結論を得た.2次元微小血管モデルの解析において,人工赤血球の挙動は,ヘマトクリットHt=0%ではブラウン運動による分散係数が支配的であり,赤血球が存在する場合では赤血球による影響が支配的であることがわかった.また,人工赤血球の血管内分布の違いによる分散係数の比較から,軸集中により赤血球が多く存在する管軸に近くなるにつれて人工赤血球の分散係数は増加することがわかった.さらに,ヘマトクリットHt=15%までは,赤血球が比較的変形しやすく血漿が撹拌されるため,人工赤血球の分散係数が大きくなり,一方, ヘマトクリットHt=15%以降では,赤血球が軸集中により動きが制約されるため,人工赤血球の分散係数が小さくなることがわかった.次に,3次元微小血管モデルの解析において,赤血球,人工赤血球と酸素の化学反応を考慮した酸素輸送モデルを構築することができた.酸素放出に関する既存の実験結果との比較より,酸素飽和度の変化に対して,本計算結果が実験結果と同様の傾向を示すことがわかった.また,人工赤血球の拡散係数が大きいほど半径方向への濃度拡散が促進され,その結果,時間の経過とともに組織を含め酸素濃度は上昇し,血管内の酸素飽和度は減少することがわかった.
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