2014 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内液のミクロ流動を再現できる電気・化学・機械統合心筋細胞モデルの開発
Project/Area Number |
23700530
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
平林 智子 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30566716)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 有限要素法 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞内液のミクロ流動は,細胞組織からの圧力やイオン分布・電位分布などの影響をうけ,また細胞内の物質を運搬することでこれらに影響を与える.従って細胞内液のミクロ流動は機械・電気・化学現象を結びつける重要な現象であるといえる.このような複雑な生体機能を理解するために,数値解析による生命現象の再構成は有効な手段となる.そこで,本研究では機械・電気・化学の統合的な現象として細胞内液のミクロ流動を再現できる心筋細胞モデルの解析手法を確立し,そのプロトタイプを作成することを目指した.まず,機械・電気・化学の統合的な現象として細胞内液のミクロ流動を再現する解析手法として,三相理論を検討した.この理論では,固体の変位,流体の速度(つまり変位の時間微分),圧力,イオン電流(つまりイオンの移動速度)もしくは計算量を減らすためにイオン濃度.電位の全てを未知数として解くために,各ステップで膨大な連立方程式を解くことになる.また,細胞は20%程度も収縮できるうえに,その速度も速いので動的問題ととらえることができる.これらのことから,現実的に応用するには動的問題としていくつかの未知数を分離して弱連成で解く工夫が適しているとの結論を得た.そうすればまず第一に,毎回解く連立方程式の未知数が減り,計算量が大幅に削減できる.第二に,一部の未知数に関しては陽的に解くことでマトリクスを解かずに済むのでさらに大幅な計算量の削減ができる.第三に,一部の未知数のみ細かい時間刻みで計算することでさらなる計算量の削減ができる.また,その場合の課題として妥当性の検証が必要となり,そのためには強連成での計算との比較が必要であることを確認した.
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