2011 Fiscal Year Research-status Report
DDS型Find-meシグナルのマクロファージ動態制御によるがん免疫療法の開発
Project/Area Number |
23700532
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
城 潤一郎 独立行政法人放射線医学総合研究所, 分子イメージング研究センター, 博士研究員 (60511243)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ナノバイオ / 癌 / 脂質 / 生体機能応用 |
Research Abstract |
本研究の目的は、マクロファージのがん組織への誘引と活性化とを同時に達成できるナノ構造体を創製、がん免疫療法へ応用することである。マクロファージは、死細胞から放出される"Find-meシグナル"を起点として死細胞を除去する。このマクロファージの動き(マクロファージの死細胞部位への誘引)をがん免疫療法へ応用できないかと考えた。本研究では、"Find-meシグナル"とマクロファージ活性化薬剤とを同時に含み、がん組織へデリバリー可能なナノ構造体を、材料学を駆使して創製する。創製したナノ構造体を用いたがん免疫療法の可能性とそのメカニズムについて検討する。 平成23年度は、まず"Find-meシグナル"とマクロファージ活性化薬剤とを同時に含むナノ構造体の創製を行った。水相へ"Find-meシグナル"およびポリエチレングリコール(PEG)脂質を、有機溶媒相へポリ(乳酸‐グリコール酸)を溶解した。水相へ有機溶媒相を加え乳化し、有機溶媒を蒸発させる液中乾燥法により、目的のナノ構造体を作製した。用いる有機溶媒の種類とポリ(乳酸‐グリコール酸)の濃度によって、ナノ構造体のサイズが変化することが分かった。PEG脂質の添加によってナノ構造体は安定化したが、PEG脂質の量によって表面状態が変化することはなかった。次に、ナノ構造体の作製時に近赤外領域で発光する難水溶性蛍光色素を内包した。この蛍光色素内包ナノ構造体を担がんマウスへ投与し、がん組織への集積量を蛍光イメージング装置にて経時的に評価した。その結果、ナノ構造体はがん組織へ集積することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的である、「マクロファージのがん組織への誘引と活性化とを同時に達成できるナノ構造体を創製、がん免疫療法へ応用すること」に対して、ナノ構造体の創製方法を確立し、ナノ構造体ががん組織へ集積することを確認した。マクロファージの誘引と活性化についても予備検討を開始しているため、おおむね計画通り進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
ナノ構造体によるマクロファージの誘引と活性化について物理化学的アプローチ(ナノ構造体表面とマクロファージとの相互作用解析)と生物学的アプローチ(マクロファージの遊走活性解析とマクロファージからの分泌物の解析)により評価する。ナノ構造体を用いたがん免疫療法の効果を評価し、そのメカニズムについても組織化学的アプローチ(ナノ構造体投与後のマクロファージの動態の評価)を中心に評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究の加速化を図るため、遂行する研究の順序を変更した。それに伴い、一部の消耗品の購入を見合わせたため、次年度使用する研究費が生じた。この研究費は試薬購入に使用する。翌年度の研究費の使用計画は以下のとおりである。ナノ構造体によるマクロファージの誘引と活性化を評価するために、試薬および細胞培養器具試薬を購入する。ナノ構造体を用いたがん免疫治療法の効果とそのメカニズムを評価するために、試薬および動物実験器具試薬を購入する。研究関連の書籍の購入と研究成果発表(学会発表、論文発表)、打ち合わせのための経費を支出し、本研究の加速化と成果の社会への発信を図る。
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