2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23700535
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福島 修一郎 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (40362644)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 生物・生体工学 / 計測工学 / 移植・再生医療 / バイオメカニクス / 非線形光学 |
Research Abstract |
細胞スケールの変位場解析に使用するSHG顕微鏡を開発した.これを用いて,コラーゲンゲル内の細胞の遊走を観測し,計測・解析系の妥当性を検証するとともに,細胞の接着および浸潤過程におけるコラーゲン基質の再構築機序を検討した. 作製したSHG顕微鏡は,培養過程で経時的にSHG光,蛍光,透過光の同時観測が可能であり,従来と比較して高分解能・高感度な仕様となっている.改良のために,長作動高開口数の対物レンズを使用できるように既存のレーザー光源および走査系を正立顕微鏡に組み込みこんで,空間分解能と観察深度を向上させ,高開口数コンデンサレンズと高感度光電子増倍管を用いてSHG光の検出感度を向上させた.また,顕微鏡用培養装置コントロールユニットを用いてコラーゲンゲルに包埋した細胞の長期間観測を実現した. このSHG顕微鏡を用いて,細胞近傍のコラーゲンの生成や分解,細胞の牽引力による変形を明らかにし,基質の再構築の詳細を検討した.細胞接着過程の細胞-基質間の相互作用を検討するために蛍光タンパク質を細胞骨格および接着斑に発現させて可視化した結果,局所的なコラーゲン線維構造の不均一性がコラーゲン基質の変形に影響していることが明らかになった,また,コラーゲン基質上に内皮細胞を播種した血管新生モデルを用いて基質の再構築を可視化した結果,これまでは詳細が不明だった細胞近傍のコラーゲンの生成や分解,細胞の牽引力による変形による構造変化が明らかになった.さらに詳細な時系列の再構築過程を観測することができるマイクロ流体デバイスを作製する環境を整備した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
顕微鏡の開発は当初計画の仕様どおりに達成した.変位解析の3次元化については保留したが,次年度予定していた血管新生モデルの解析を前倒して成果を出すことができた.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は3次元組織を構築するうえで重要な血管新生の制御に焦点を絞って研究を進める.経時観測が容易なマイクロ流体デバイスを用いた実験系を確立して,偏光解析ができるように改良するSHG顕微鏡を用いて基質の再構築機序を明らかにする.特に,力学的環境の細胞機能への影響を考慮し,再生医療用培養組織を3次元・高機能化するための細に力学刺激を活用する方法を検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究計画の主要課題に取り組む順番を変更して研究費を遂行したため,当初見込み額と執行額は異なったが,全体計画に変更はなく,前年度の研究費も含めて最終目標に向けた研究を実施する.
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