2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23700535
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福島 修一郎 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (40362644)
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Keywords | 生物・生体工学 / 計測工学 / 移植・再生医療 / バイオメカニクス / 非線形光学 |
Research Abstract |
細胞の生理機能に様々な影響を及ぼす力学的刺激を定量的に把握するための新たな計測・解析技術を開発した.力学環境の定量化には,細胞外基質の主成分であるコラーゲンを非侵襲・無染色的に計測できる第2高調波発生光(SHG光)を用いて可視化し,その変形と再構築から力学場を解析する手法を採用した. 細胞スケールの解析対象として,3次元培養組織の構築に必要不可欠な細胞遊走および血管新生に着目した.コラーゲンゲルを基質とする培養モデルを新たに開発したマイクロ流体デバイス内で構築して,培養過程における基質の再構築を明らかにした.血管新生モデルでは,コラーゲンゲルに侵入して管腔様の構造を形成する過程での基質の分解,産生,再構築の空間情報を取得することに成功し,組織化された細胞間および細胞‐基質間の相互作用が明確になった. 組織スケールの解析対象としては,動脈硬化を伴った血管壁,変形性関節症を発症した関節軟骨,増殖性糖尿病網膜症で形成された線維性増殖膜に着目した.これらの病変部では異常な基質産生が行われており,コラーゲンから発生するSHG光強度を基にしたサブマイクロメートルの空間分解能での構造解析から,従来の組織学的観測法では得られない情報が取得可能となった. SHG光を用いて取得した細胞および組織スケールのコラーゲン構造情報をもとにしたマルチスケール力学場のシミュレータを開発し,血管の拍動に伴う血管壁の変形を細胞スケールの伸展刺激と関連させて検討するスキームが完成した.
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