2013 Fiscal Year Annual Research Report
熱流体解析による補助循環システムの血液適合性評価法の提案
Project/Area Number |
23700540
|
Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
矢野 哲也 秋田県立大学, システム科学技術学部, 助教 (70404853)
|
Keywords | 人工心臓 / 血液ポンプ / 血流 / 溶血 / 血栓形成 / 数値流体解析 |
Research Abstract |
補助人工心臓血液ポンプの開発においては,血液適合性の向上を目指して設計がなされる.最近では,設計段階において数値流体解析の使用が進められているが,ポンプ内部に限定した解析がほとんどである.本研究課題では,ポンプ上流の脱血管および心室を含め,実使用環境に近い条件を想定した解析方法について検討し,その中でいくつかの知見を得た. 左室内腔形状を計算機上でモデリングし,連続流ポンプによる完全補助状態における左室内血流を数値解析した.また,同一形状の透明シリコーン製流路を作製し,計算と同条件の実験を行い,粒子画像流速測定法により流速分布を測定し,両者の比較から数値解析の結果の妥当性を確認した.脱血用カテーテルの先端形状,挿入深度,挿入角度による左室内血流パターンおよび壁せん断応力分布の変化を調べ,特に,挿入方向を前壁に平行にした場合および複数の側面孔を脱血管先端付近に設けた場合に,低壁せん断応力領域が有意に減少し,壁面洗い流し効果の向上が期待されることを示した.また,計算手法の改善として,心室内腔モデルと脱血管モデルについて別々に生成したメッシュを重ね合わせて計算する重合メッシュ法の適用について検討し,計算モデル構築における省力化を図れることを確認した.さらに,一般的な心尖部脱血型に加え,カテーテル型,大動脈弁位置設置型の3種類の脱血方式を想定した左室・脱血管統合モデルを用意し,心室壁の運動を考慮した部分補助下の左室内血流解析を行った.心尖部脱血型およびカテーテル型については,左室駆出率が低い(15%)場合,および使用するポンプの特性よっては,大動脈弁が開放せず,大動脈弁付近に血流鬱滞領域が形成されることがわかった.以上のような,連続流血液ポンプによる拍出補助下の左室内血流解析と血液損傷モデルの組合せを,補助人工心臓血液ポンプ設計プロセスの一つとして提案する.
|