2013 Fiscal Year Annual Research Report
非ガウス統計を応用した心拍変動解析法の開発と生体情報計測への応用
Project/Area Number |
23700544
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
清野 健 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (40434071)
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Keywords | 心拍変動 / 非ガウス統計 / 時系列解析 / ノンインベイシブ心電学 |
Research Abstract |
(1) 非ガウス過程の相乗分解を応用した時系列解析法の開発 広いクラスの非ガウス時系列を特徴づけるために,相乗確率過程に対して対数振幅キュムラントと対数振幅自己共分散を定義し,その推定法を提案した.この枠組みでは,非ガウス分布に従う定常確率過程を,標準正規確率変数Xと対数振幅確率変数Yに分解し,X exp Yの形で表現する.この場合,正規分布からの乖離(非ガウス性)は,対数振幅Yの性質により評価される.正規確率過程の場合,対数振幅は定数になり,非ガウス過程では確率的に変動する.本研究では対数振幅のキュムラントと自己共分散が,観測時系列から推定可能であることを示した. 上記の対数振幅統計の応用例として,これまでに提案されている非ガウス過程の現象論的モデル,Castaingの対数正規型分布,Beck-Choenのsuperstatistics,Levy安定分布,伸長指数分布を分析した.これらのモデルに対して,対数振幅統計量の解析解を導出し,数値実験により理論解が観測時系列の性質を正しく予言していることを確かめた. (2) 心拍変動の非ガウス性と予後 心拍変動の非ガウス性の先行研究では,対数正規型の非ガウス分布をモデルとして,心拍変動の非ガウス性(正規分布からの乖離)を評価し,心疾患患者においては,非ガウス性が高いほど死亡リスクが高いことが示されてきた.本研究では(1)で開発した方法を心拍変動時系列に応用し,観測される非ガウス分布の構造をより詳細に定量化する分析法を開発した.その結果,心拍変動の非ガウス性には,分布の裾の漸近的な振舞いの変化が見られることが明らかになった.さらに,分布の裾の構造が,指数型からべき型に近づくにつれ,死亡リスクが増加する傾向がみられた.このような分布の裾の特徴は,従来の非ガウス性の指標では特徴づけられなかったものである.
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Research Products
(6 results)