2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23700549
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
世良 俊博 大阪大学, 臨床医工学融合研究教育センター, 特任講師(常勤) (40373526)
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Keywords | 肺胞 / 動態解析 / 気流シミュレーション |
Research Abstract |
肺は均一な組織ではなく、特に肺胞は呼吸に伴って大変形する。また、慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、肺胞壁が破壊されることによって肺胞の弾性率が低下し呼吸困難になると言われれている。従来は巨視的な視点から肺の動態解析が行われてきたが、COPD時の呼吸生 理や今後の薬剤開発を考えると、肺胞に特化した動態観察が必要である。そこで、本研究では、大型放射光施設SPring-8高分解能CTを用い健常時・COPD時の肺胞動態解析と肺胞内物質輸送シミュレーションを行い、COPD時の病態生理や換気状態について検討した。 動態解析には、COPDモデルマウスとしてエラスターゼを投与した肺気腫モデルマウスを作成し、肺胞壁がエラスターゼにより破壊されていることを確認した。健常マウスとCOPDモデルマウスを用いて、安楽死後強制的に呼吸圧を変化させながらCT撮影を行い、擬定常呼吸下での動態解析を行った。健常マウスは安静呼気後は肺胞管壁に多数の凹凸が観察され安静吸気後は壁面の凹凸が消滅しスムーズになるのに対し、COPDモデルは安静呼気後は肺胞管壁に多数の凹凸が観察されなかった。また、肺胞管の直径の変化を比較すると、健常マウスのみ吸気初期時に急激に増加し、その後最大肺容量時まで比較的一定であった。特に、COPDモデルマウスでは、吸気に伴う肺胞の拡大率が減少していた。 肺胞内の粒子輸送シミュレーションでは、SPring-8のCT画像から再構築した実形状モデルを用いて、健常時および肺気腫時の肺胞内気流シミュレーションを行った。気流と肺胞の力学相互作用はなく、気道壁の変形によって気流が発生する移動境界問題と扱った。健常時・肺気腫時ともに肺胞内は非常に流速の遅い流れが生じ、肺胞上流部には再循環領域が掲載されていた。肺気腫時は健常時に比べて流速が非常に遅いことから、ガス交換効率が悪いことが考えらえる。
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Research Products
(4 results)