2011 Fiscal Year Research-status Report
ダイナミックシステム同定法を用いた筋トーヌス異常の解析と病態モデル構築
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23700551
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Research Institution | Toneyama National Hospital |
Principal Investigator |
遠藤 卓行 独立行政法人国立病院機構刀根山病院(臨床研究部), その他部局等, 研究員 (40573225)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 生体情報・計測 |
Research Abstract |
(1)筋強剛の関節角度―トルク特性に関する解析:角度依存性の検討については肘関節の特性を関節角度60度で二つに分けて考えることが妥当であることを統計学的に示し、筋強剛は肘を伸ばしきる遠位相で最も検出されやすいことを明らかにした。具体的には、まず健常者20名の肘関節筋トーヌスを計測し、水平に対して約60度の角度を境界として特性が異なることを明らかにした。次に、24名のパーキンソン病患者の肘関節筋トーヌス計測を行い、10-60°(遠位)、60-110°(近位)の2つの角度範囲で屈曲・伸展時それぞれのばね係数(弾性要素)を計算した。結果として、筋強剛は肘関節伸展時の遠位ばね係数で最も臨床的な評価スコアと相関が良いことがわかった。これについては、平成23年12月のパーキンソン病国際学会で発表し反響を得た。英文論文としても投稿準備中である。また、肘関節の筋強剛について回内位と回外位による筋強剛の差異について検討した結果、軽度の筋強剛は回外位よりも回内位で改善したのに対し、重症度の高い例では逆に回内位で増悪した。この結果からパーキンソン病の重症度が上がるにつれて筋強剛の罹患筋が拡大し、ADLに影響することが示唆された。これについては平成23年5月の神経学会学術大会で発表し反響を得た。(2)筋強剛の病態モデル構築:(1)の結果で明らかになった特性は、筋強剛に関するこれまでの教科書的な記述と異なるものであり、これらをもとに新たな筋強剛の病態モデルを構築に着手している。(3)痙縮のある神経疾患患者の筋トーヌス計測協力病院である千里中央病院において5名の脳卒中患者の筋トーヌスを経時的に計測した。(4)痙縮の関節角度―トルク特性に関する解析:(3)で蓄積したデータをもとに痙縮の角度―トルク特性について、解析を開始した。これまでに開発した筋トーヌス計測装置の有用性について英文図書として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
筋強剛の動特性解析については、関節角度―トルク特性について新たな知見を得て国内・国際学会で発表しており一定の成果が出ている。またこれらの成果をもとに病態モデル構築に着手できており、予定通りに進展している。痙縮患者の計測については、協力病院において5名の脳卒中患者でのデータ採取が完了し、その特性解析に着手できており、予定通りに進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度以降も引き続き(1)筋強剛の関節角度―トルク特性に関する解析、(2)筋強剛の病態モデル構築、(3)痙縮のある神経疾患患者の筋トーヌス計測、(4)痙縮の関節角度―トルク特性に関する解析をすすめていく。パーキンソン病患者の計測については、すでに100名以上のデータを採取できており、特性解析および病態モデル構築に十分なデータが蓄積されている。今後、計測プロトコルを変えるなどして継続的にデータ採取を行っていく予定である。痙縮患者の計測については、小型筋トーヌス計測装置が本年中に完成予定であるため、複数の医療機関での同時計測が可能となり、データ採取が加速することが期待される。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
計測に必要な筋電図電極、電子部品等部材一式を購入予定である(20-30万)。数値解析ソフトMATLAB一式購入予定である(約100万)。資料収集、研究成果発表のため国内学会へ参加予定である(20-30万)。研究補助員に対する謝金を支払う予定である(10-20万)。論文投稿のため英文校正、投稿料を支出する予定である(10-20万)。
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Research Products
(4 results)