2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23700560
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上杉 佳子 京都大学, 再生医科学研究所, 研究員 (30416416)
|
Keywords | ナノドラッグデリバリーシステム |
Research Abstract |
肝硬変は、ウイルス性肝炎やアルコールおよび薬物による慢性肝障害が進行し、肝臓が線維化していくことによって、肝臓が硬く変化して肝機能が減衰する疾患である。不可逆的な疾患であるため治療薬がなく、肝移植以外に根治を望めないというのが現状である。そのため、安全性が高く、効果的な肝炎および肝硬変の治療薬が望まれている。そこで本研究では、肝臓の線維化のメカニズムに着目し、アポトーシスを利用して肝硬変で中枢的役割を担う活性化した肝星細胞を死滅させることにより、肝硬変の治療薬を創製することを目的とした。具体的には、アポトーシスの誘導因子であるTRAILと、ゼラチン誘導体を利用したナノDDS技術を組み合わせて、肝硬変の治療を目的としたナノDDSの開発を行った。 本年度は、TRAILとゼラチン誘導体からなるナノDDSに活性化した肝星細胞に対する標的指向性を与えるために、ゼラチンに標的分子であるcyclic Arg-Gly-Asp (RGD)を様々な割合で化学導入した。これらのcyclic-RGD導入ゼラチンとTRAILに様々な濃度の酢酸亜鉛溶液を混合し、コンプレックスの作製条件を検討した。作製したコンプレックスの表面電位は電気泳動光散乱光度計、粒子径は動的光散乱法で測定を行った。次に、ヒト肝癌細胞(HepG2)と肝星細胞(LI90)を用いて、アポトーシス誘導に効果のある濃度の評価を、蛍光標識化アネキシンVおよびプロピウムアイオライドを用いたFACS解析で行った。また、カスパーゼ3、8の活性はそれぞれの蛍光基質を用いて測定した。肝硬変モデルマウスの作製は、マウスに四塩化炭素/オリーブオイルを腹腔内に週3回ずつ4週間投与して行った。薬剤投与後の肝臓の評価は、肝臓摘出後、切片作製を行い、マッソン・トリクローム染色での免疫染色およびHE染色を行い、組織の形態観察および線維性コラーゲン量の評価を行った。
|