2013 Fiscal Year Annual Research Report
酸性多糖で被覆したDNA複合体微粒子を内包した生分解性持続型遺伝子治療製剤の創製
Project/Area Number |
23700564
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
伊藤 智子 武蔵野大学, 薬学研究所, 客員研究員 (80372910)
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Keywords | 遺伝子治療 / スローリリース |
Research Abstract |
難病の治療法として注目を集める遺伝子治療だが、外来遺伝子は短期間で失活してしまうため有効な治療は難しい。そのため効果が持続する徐放タイプの遺伝子導入製剤が強く望まれる。しかし、DNA複合体は一般に分散安定性が悪いため有効な徐放手段がなく、長期安定発現の可能な製剤の成功例や、放出制御の報告がなかった。一方我々は、ヒアルロン酸で表面を被覆したDNA複合体が極めて高い分散安定性を示すことを見出した。本研究では注射投与可能な生分解性自己会合型基材に酸性多糖被覆DNA複合体を内包することで注射型核酸徐放製剤を創製することを試みた。 生分解性自己会合型基材としてアルギン酸ゲルを用いた。アルギン酸水溶液を生体内に注射投与すると生体内のカルシウムイオンによって投与部位でソフトなゲルが形成された。得られたゲルは腫瘍組織中の低pH環境下で徐々に分解した。また、pHコントロール剤として非晶質リン酸カルシウム(ACP)をアルギン酸ゲルに添加するとゲルの分解速度が遅延し、内包したDNA複合体の放出速度を制御できることが示された。抗腫瘍効果を評価するため、免疫活性化遺伝子をコードしたプラスミド複合体を内包したACP含有アルギン酸水溶液を調製し、皮下腫瘍モデルマウスの腫瘍内に投与した。未治療のマウスでは腫瘍が著しく早く成長した。一方、ゲルに内包していないDNA複合体は、投与後約2週間は抗腫瘍効果を示したが、その後急激に腫瘍が大きくなった。DNA複合体を内包したアルギン酸水溶液を投与したマウスにおいては、生体内で形成したアルギン酸は1か月以上にわたって徐々に溶解し、DNA複合体粒子を放出し続け、完治を含む非常に高い治療効果を示した。 以上のように、DNA複合体微粒子を内包したACP含有アルギン酸ゲルは、注射可能な長期発現型核酸徐放製剤としての応用が期待される。
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Research Products
(6 results)