2012 Fiscal Year Research-status Report
物理・免疫融合療法に用いるin situ癌免疫誘導のためのナノ構造アジュバント
Project/Area Number |
23700567
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
王 秀鵬 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 主任研究員 (70598789)
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Keywords | 免疫 / アジュバント / 腫瘍免疫 |
Research Abstract |
本研究課題では、ナノ構造を有する無機粒子と免疫刺激分子を組み合わせた高免疫活性能を有するアジュバントの開発を目指す。平成23年度は、二価陽イオン(マグネシウム、または亜鉛)含有のTCP(Mg-TCP、Zn-TCP)と免疫刺激分子(菌体由来物質, HTB等)をリン酸カルシウム飽和溶液中で共沈現象によって複合化したアジュバント候補材料を作製した(Zn-TCP-Ap-HTB、Mg-TCP-Ap-HTBアジュバント,step 1-3)。これらを用いて平成23年度に開始したin vitro試験の結果を解析し(step 4)、有望と認められたアジュバント候補材料は、本年度はin vivo評価実験を実施して、生体内においても免疫獲得にアジュバント候補材料が有効に機能したか否かを評価した(step 5)。具体的には、がん治療モデルマウスに固定化自己がん抗原と共存するようにZn-TCP-Ap-HTB、Mg-TCP-Ap-HTBアジュバント材料を皮下注入した。コントロールグループには生理食塩水を注入した。一定期間の飼育後それらのマウスに再度腫瘍細胞を皮下注入し、さらに30日間観察を続けたところ、Zn-TCP-Ap-HTB、Mg-TCP-Ap-HTBアジュバントを注入したマウスは腫瘍の成長速度は遅く、マウス体内でがん細胞に対する免疫が確立されたものと考えられた。それらのマウスの脾臓中には細胞性免疫に関連するサイトカイン(例えば、GM-CSF、IL-2、TNF-α、IL-12およびIFNγ)量がコントロールグループと比較して増大しており、細胞性免疫関連する免疫活性が高まった事が分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
アジュバント候補材料としたZn-TCP-Ap-HTB、Mg-TCP-Ap-HTBの作製は平成23年度に達成できた (Step 1-3)。このため、平成25年度から開始する予定だった候補材料のin vivo評価(Step 5)を前倒して今年度に着手する事が出来た。得られたデータ(in vivo)は、アジュバント候補材料の調製条件(アジュバントの免疫活性を左右するパラメータである免疫刺激分子の担持量や担持条件、無機粒子キャリアの種類や構造)、決定のためにフィードバックすることができた。既にアジュバントの調製条件の再検討が開始できていることから、当初の計画以上に進展していると自己評価している。 本研究の成果を元に特許出願を行なった。また、1報の責任著者論文を国際誌(Advanced Healthcare Materials)に発表した(オンラインで公開)、2報の筆頭論文を国際誌(Acta Biomaterialia、RSC Advances)に発表した(オンラインで公開)、1報の筆頭論文を国際誌(Journal of Biomedical Materials Research Part A)に受理した。さらに、1報の筆頭論文を国際誌に投稿し現在査読中である。また、国内、国際学会において複数の発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
H24年度に引き続き、In vitro、in vivo癌治療効果評価の結果は逐一アジュバントの作製行程にフィードバックさせる。具体的には、in vitro、in vivo試験の結果を解析し、その内容を元に、アジュバントの免疫活性を影響するパラメータとして免疫刺激分子の担持量や担持条件、無機粒子キャリアの種類や構造等(例えば、キャリアとなるメソポーラスシリカ粒子の細孔サイズ)をさらに最適化し、必要に応じて再選択する。平成25年度、in vivo評価実験を引き続き実施して、より大規模な動物実験で、生体内での免疫獲得にアジュバント候補材料が有効に機能したか否かを再探索、再確認する。加えて、アジュバント候補材料をマウス腹腔内に皮下注入し、マウスの血液や脾臓やリンパ節の抗体やサイトカイン量を評価して、アジュバント候補材料の免疫メカニズムの探索を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品 80万円:試薬(10万)、ELISAキット(45万)、理化学用品(5万)、実験動物(20万)等 その他20万円:学会参加費、情報収集等。
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Research Products
(13 results)