2013 Fiscal Year Annual Research Report
物理・免疫融合療法に用いるin situ癌免疫誘導のためのナノ構造アジュバント
Project/Area Number |
23700567
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
王 秀鵬 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 主任研究員 (70598789)
|
Keywords | 免疫 / アジュバント / 腫瘍免疫 |
Research Abstract |
昨年度までに、二価陽イオン含有TCPナノ粒子をキャリアとしたアジュバントのin vivo評価を終了し、ガンに対する細胞免疫獲得に一定の効果がある事が示された。今年度は、更に高いガン免疫誘導能を有するアジュバントの作製を試みた。キャリアとしてポアサイズを調整(4 nm、7 nm、10 nm)したメソポーラスシリカ粒子を選択した。これに免疫刺激分子(菌体由来物質等)をリン酸カルシウム飽和溶液中で共沈現象によって複合化して、アジュバント候補材料とした。 In vitro免疫活性評価ではメソポーラスシリカ粒子を用いたアジュバント材料は免疫活性を示した。メソポーラスシリカ粒子同士を比較すると、ポアサイズ10 nmの粒子を用いたアジュバントの免疫活性が最も高かった。平成25年度、in vivo評価実験を引き続き実施し、より大規模な動物実験で、これまでに作製したアジュバント候補材料(メソポーラスシリカ、マグネシウムまたは亜鉛含有のリン酸三カルシウム)のがん免疫獲得に対する有効性を再確認した。まず、がん治療モデルマウスに固定化自己がん抗原と共存するようにメソポーラスシリカアジュバント材料を皮下注入した。コントロールグループには現在唯一臨床で使用可能のアラムアジュバントを注入した。免疫獲得に十分とされる飼育期間の後、それらのマウスに再度腫瘍細胞を皮下注入し、30日間観察を続けたところ、メソポーラスシリカ粒子を用いたアジュバント注入したマウスは腫瘍の成長速度は遅く、マウス体内でがん細胞に対する免疫が確立されたものと考えられた。腫瘍の成長を抑制するメカニズムとして、メソポーラスシリカを用いたアジュバントを注入すると、マウス脾臓とリンパ球中に細胞性免疫に関連するサイトカイン(例えば、IL-2およびIFNγ)の分泌が増大され、細胞性免疫に関連する免疫活性が高まった事が要因であると分かった。
|