2011 Fiscal Year Research-status Report
カーボンナノチューブを利用した生体内発電素子の開発
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23700568
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
都 英次郎 独立行政法人産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, 研究員 (70443231)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | カーボンナノチューブ / 体内発電 / 熱電変換 / 光発熱特性 / レーザー / 生体適合材料 / 高分子 / 動物実験 |
Research Abstract |
本研究では、生体内で光熱発電が可能なカーボンナノチューブ(CNT)を搭載した熱電変換素子の開発を行った。具体的には以下の通りである。まず、コア技術となるCNT-生体適合性ポリマー[シリコーン樹脂:ポリジメチルシロキサン(PDMS)]複合体の開発を行った。このときCNTをPDMSへ高濃度・均一分散化させるために、導電性ポリマー(ポリ3-ヘキシルチオフェン:P3HT)を利用したCNTのナノ表面改質を行った。各種分光光度計(紫外・可視分光、ラマン分光)、光学顕微鏡および走査型電子顕微鏡による評価の結果、P3HT-CNT複合体はPDMS中で極めて高い分散性を示すことがわかった。また、コントロール実験として、その他のカーボン材料(表面未改質CNT、フラーレン、グラファイト)、種類の異なるCNT(単層CNTおよび多層CNT)のPDMSへの複合化を行った。次に、当該複合体を表面にコーティングした熱電変換素子の開発を行った。具体的には、上記CNT-PDMS複合体をビスマス-テルル系の小型熱電変換素子表面にコーティングし、目的の光熱発電モジュールを作製した。また、作製したモジュールに近赤外レーザーを照射し最大起電力を求めた。さらに、モジュールのサイズや各レーザー出力を検討することで最大起電力が得られる最適条件を決定した。最後に、本光熱発電モジュールをラット体内に埋め込み、レーザー照射に伴う体内での発電効果を検討した。具体的には、作成した光熱発電モジュールをラット(Wister系統)背面皮下に埋没させ、近赤外レーザーを照射することで生体内での発電効果を検証した。また、解剖学的手法による本光熱発電モジュールの生体適合性評価を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
最終構想に掲げた生体内で光熱発電が可能なCNTを搭載した熱電変換素子の開発に成功しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
安心・安全な光熱発電素子開発のために、各種ナノカーボン材料(カーボンナノチューブやカーボンナノホーンなど)のさらなる生体適合性評価を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験器具として実験用手袋、キムワイプ、メンブレンフィルター、チップ、サンプル容器のような紙・プラスチック・ガラス製品の他にメスや針・糸などの動物実験に関わる手術用品を購入する予定である(計20万円)。論文(国際誌)投稿予定につき、役務・工事・作業費(英文校正、オープンアクセス費用)を50万円計上する。海外での発表1件を行うため外国旅費を30万円計上する。
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Research Products
(4 results)