2012 Fiscal Year Research-status Report
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23700569
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
石兼 真 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 特任研究員 (40470190)
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Keywords | 卵膜 / 間葉系幹細胞 / 他家移植 / 細胞シート / 心筋梗塞 |
Research Abstract |
①心不全に対する他家卵膜由来間葉系幹細胞(MSC;mesenchymal stem cell)移植療法の有効性に関する前臨床研究:前年度に引き続き、大動物慢性心筋梗塞モデルを用い、他家卵膜由来MSCシート移植による心機能改善効果について評価を行った。 i) 心筋梗塞作製4週間後に、3層積層化卵膜由来MSCシートを梗塞部位をカバーするように心臓表面に3枚移植した。コントロール群:4例、卵膜MSCシート移植群:6例。ii) 移植8週間後に、心エコー評価を行ったが、コントロール群と比較して卵膜MSCシート移植群で有意な心機能改善効果は確認されなかった。また、心筋の線維化をマッソン・トリクローム染色により評価したが、シート移植群で有意な減少は確認されなかった。これらの結果より、心筋梗塞に対してMSCシート移植療法を行うには改善が必要であることが明らかになった。 ②栄養因子分泌促進卵膜由来MSCシートの開発:より治療効果の高い細胞シート移植療法を確立するため、卵膜由来MSCにsiRNA-int6を導入することより、栄養因子分泌を促進させたMSCシートの作製を行った。 i) Lipofectamine-LTXを用い、MSCシート作製下におけるsiRNA高効率導入条件を設定した。ii) コントロールベクター、siRNA-int6を導入したMSCからRNAを抽出し、real time PCRによりVEGF、HGF、IGFの発現を比較したが、有意な増加を確認できなかった。iii) int6の抑制効果があり、hypoxia-inducible factor 2α(HIF2α)の増加が確認されるint6-siRNAの再設計を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ラット慢性心筋梗塞を用いた検討では、卵膜由来MSCシートの他家移植において、コントロール群と比較して有意な心機能改善効果や線維化抑制効果が確認されたが、大動物慢性心筋梗塞モデルを用いた検討では、有意な改善効果が確認されなかった。 治療効果を改善するために、卵膜由来MSCの栄養因子分泌促進シートの開発に関する検討を行ったが、現時点でのsiRNA-int6の配列では、int6抑制、HIF2α増加による栄養因子分泌増加作用が得られず、siRNAの再設計を行っている。年次計画では、平成24年度にin vitro実験を終了し、25年度よりin vivo実験を開始する予定であったため、進歩状況はやや遅れていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
慢性心筋梗塞に対する治療効果をより高めるため、卵膜由来MSCの栄養因子分泌能を増加させた細胞シートを作製し、in vitro、in vivoにてその有効性を確認する。 i) siRNA-int6の再設計を行い、MSCにおいてint6のノックダウンに伴うHIF2αの増加作用をrial time PCRで確認する。卵膜由来MSCでの再設計siRNA-int6の導入で、栄養因子分泌が上昇するか、real time PCR、ELISAにて評価する。ii) siRNA-int6導入卵膜由来MSCシートを作製し、ラット慢性心筋梗塞モデルに対して移植を行い、血管新生効果や心機能改善効果について従来の卵膜由来MSCシートと比較検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
心筋梗塞に対する有効な卵膜由来MSC移植療法の確立を目的とした基礎研究を計画している。卵膜由来MSCに対し、siRNAの導入を行い、VEGF、HGFといった血管新生因子の増加についてPCRやELISAによる評価を行う。また、ラット慢性心筋梗塞モデルに対して栄養因子分泌促進シートの移植を行い、in vitro、in vivoで有効性について評価する。栄養因子分泌型MSCシートの開発にあたり、遺伝子導入試薬やアッセイ試薬(ELISA)への研究費の使用を予定している。また、心筋梗塞モデル作製のための実験動物(ラット)の購入に充てるとともに、移植するために大量の細胞が必要となるため、細胞培養試薬・機材(メディウム、培養皿等)にも使用する。
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