2011 Fiscal Year Research-status Report
パターン光投影による非接触呼吸計測を用いた慢性閉塞性肺疾患スクリーニング
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23700576
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
青木 広宙 広島市立大学, 情報科学研究科, 准教授 (60380193)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 呼吸計測 / 非接触生体計測 / 三次元画像計測 / 生体信号処理 / 慢性閉塞性肺疾患 |
Research Abstract |
平成23 年度は、医療機関に持ち込むためのフィールドテスト用計測システムの開発を行った。センサ部においては、これまで非接触呼吸計測に関する研究に利用してきたアクティブ型三次元画像センサであるファイバグレイティング(FG)視覚センサを用い、COPD スクリーニング用途への最適化を行った。画像計測用PC は、医療機関内での可搬性を鑑み、ノート型のPC を用いることとし、画像解析ソフトウェアは、開発期間の短縮をするため、数値解析ソフトウェアMATLAB を用いて行った。以上のFG 視覚センサと画像計測用PC は、名古屋工大での開発用と医療機関での実験用の計2 セット用意した。また、フローメータを用いた比較実験により呼吸波形計測精度について検証し、COPDスクリーニングに必要な努力性呼出曲線の算出が可能であることを確認した。 さらに、マイクロソフト社から2010年末に発売されたモーションキャプチャ用デバイス"Kinect"の三次元計測機能を用いた非接触呼吸計測の実現可能性について検証した。フローメータとの同時計測により、両者で計測される呼吸波形の比較を行い、更には、"Kinect"で取得される呼吸による体積変化とフローメータによる呼吸流量との相関性について調べた。その結果、両者の計測結果には高い一致性・相関性が示唆され、"Kinect"を用いることで、FG視覚センサと同等の非接触呼吸計測が実現できることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
申請時の計画通り、FG視覚センサを用いたシステム開発が完了した。さらに、市販のセンサーである"Kinect"を用いた非接触呼吸計測について検証し、非接触呼吸計測を実用可能であることを確認した。"Kinect"は元々コンシューマゲーム機用のモーションキャプチャインタフェースデバイスとして開発されたものであるが、現在は開発元であるマイクロソフト社よりシステム開発キットが頒布されており、様々な分野での応用が推奨されている。このため、コンピュータビジョンやロボティクスなど様々な分野で、研究への応用が行われ始めている。"Kinect"を用いた生体情報計測は、本研究が初めての試みであり、また、非接触呼吸計測の実現性について示された。"Kinect"は安価でありPCとの親和性も高いことから、本研究を進めることで手軽に利用可能な非接触呼吸計測デバイスとしての実用が期待される。このことから、本研究は、当初の期待以上の進捗状況にあるものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、「安静呼吸時における胸腹部の体積変化とCOPD の病状・重症度の関連性の解明」および「胸腹部の三次元形状変化とCOPD の病状・重症度の関連性の解明」について検討を行なう。また、必要に応じて、医療機関での実際の使用を念頭に置いた計測システムの最適化を行なう。 さらに、健常者とCOPD 患者の安静時呼吸計測を行ない、安静時呼吸波形を蓄積する。蓄積されたデータに対し、教師無し競合学習モデルのひとつとして知られる自己組織化マップ(SOM:Self-Organizing Map)を適用し、COPDの病状や重症度毎の呼吸波形パターンの分類を行なう。そして、分類されたユニットの呼吸波形特徴や傾向について分析する。そして、胸腹部の三次元形状の変異データをSOMにより解析することで、病状・重症度ごとのパターン分類を行なう。そして、分類結果を元に胸腹部の三次元形状変化の特徴や傾向について検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度の研究においては、健常者ならびにCOPD患者を対象とした計測データの蓄積が、研究遂行において重要となる。膨大な量の三次元データを解析する必要があるため、高い演算能力を有するコンピュータと大容量の記憶装置が必要となることから、本年度の研究費の一部は、ワークステーションと大容量ハードディスクの購入に用いる。また、システムのブラッシュアップを行うために、センサ、光学部品、電子部品等の購入を行う。さらに、慶応義塾大学医学部との共同実験を行い、加えて、23年度からの研究成果を広く学会等で発表するために、研究費の一部は、出張旅費(交通費、学会参加費等)として用いる予定である。
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Research Products
(3 results)