2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23700577
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
廿日出 好 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90339713)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 画像診断システム / 地磁気MRI / 超伝導トランス / SQUID磁気センサ |
Research Abstract |
本年度の研究として、まず、5~10cm立方ほどの計測範囲(指や卵をまずは対象として想定)を有するコンパクトな二次元MRI装置のベースとなる、超伝導方式の信号計測回路の設計・作製・評価を行った。環境磁気雑音をキャンセルするため、高温超伝導(HTS)線材から構成される、差分型の軸型グラジオメータコイルを設計・作製し、入力コイルを介して高温超伝導SQUIDグラジオメータと結合させた超伝導磁束トランス式の計測回路を構築した。液体窒素(77K)での本回路の評価を行った結果、抵抗性ハンダを2箇所有するグラジオメータコイル両端での抵抗は約1μΩ、インダクタンスは約18μΩとなった。また、SQUIDグラジオメータ出力から計測回路のノイズ特性を評価した結果、渦電流シールドを回路全体に付与することで、1kHzでのノイズレベル30μΦ_0/Hz1/2が得られた。 次に、上記計測回路を受信器として用いる超低磁場NMR/MRI装置の開発を行った。まずSQUID磁気センサ単体を受信器として用いた、前分極磁場を用いるパルスシーケンスを開発し、上記計測回路のグラジオメータコイル内に設置可能な大きさの水ファントムを用いてプロトンNMR計測を行った。この結果、10mlの水を含むファントムから約50μTの静磁場中で約10pTの強度、2kHzのラーモア周波数をもつプロトンNMR信号を得ることができた。また、磁場勾配コイルを導入することで、水ファントムの1次元MRIを計測することができた。以上より、超伝導デバイスを用いることで地磁気レベルの超低磁場中でNMR/MRI計測が可能であることを示すことができた。上記超伝導磁束トランス式の計測回路でSQUID磁気センサを置き換えることで、NMR装置の高感度化が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の目的は、上半期は、HTS線材を用い、磁束検出コイルおよびSQUIDセンサへ磁束を伝達する入力コイルからなる超伝導磁束トランスを開発することである。上記の研究実績の概要に示したとおり、5~10cm立方ほどの計測範囲を有する超伝導トランス式の計測回路を作製し、トランスの諸特性を明らかにした。また、下半期は、地磁気レベル(約50μT)の静磁場を用いた超低磁場NMR/MRI装置の開発を行うことであり、10mlの水を含むファントムから約50μTの静磁場中で約10pTの強度、2kHzのラーモア周波数をもつプロトンNMR信号を得ることができた。また、磁場勾配コイルを導入することで、水ファントムの1次元MRIを計測することができた。このように、超伝導技術を応用することで地磁気レベルの超低磁場中でNMR/MRI計測が可能なことを示すことができ、研究は計画通りおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度では、上半期において、(1)HTSバルク円筒の磁気遮蔽効果、および、(2)磁束トラップによる円筒内の静磁場の安定性・均一性について評価を行う。HTS円筒内部に当方が所有する高感度なSQUIDセンサを設置し、外部からDC~1MHzまでの様々な周波数・強度の電磁場を円筒に印加し、SQUIDセンサによって磁気遮蔽率を計測する。また、地磁気中でHTS円筒を冷却した後の、円筒内部地磁気の経時変化および磁場分布をSQUIDにより測定し、内部静磁場の安定性・均一性を調べる。 下半期では、平成23年度に開発した超低磁場MRI装置と、上記HTS円筒を組合せた地磁気MRI装置を開発する。高精度なMRI画像を得るためにに磁気シールドもしくはシミングの追加が必要という結果が得られた場合は、装置にそれらを導入する。まずは一次元MRIを撮影して、装置のSN比と分解能を評価し、次に二次元MRI計測用のパルスシーケンスを開発・導入する。最終的に組上げるコンパクトMRIは磁気シールドやシミング機構が不要、もしくは最小限で、約10cm立方の計測範囲と、2次元MRIでの数mmの分解能を目標とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、超低磁場NMR/MRI装置のシーケンス自動化のため、デジタルパルス遅延発生器を備品として購入する。また前分極磁場の増加のためDC電源を同じく備品として購入する。また装置に必要な消耗品とソフトを購入予定である。この他、国内外での研究発表のため旅費として約40万を支出する予定である。
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Research Products
(4 results)