2011 Fiscal Year Research-status Report
ハイパースペクトルイメージング技術を用いたがん診断
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23700584
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
永岡 隆 早稲田大学, 理工学術院, 講師 (00367054)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ハイパースペクトラルイメージング / メラノーマ / 内視鏡 / 眼底 |
Research Abstract |
本年度は臨床での実用に耐えうる新しいハイパースペクトルイメージャを用いた、臨床研究を実施した。既設の静岡がんセンターに加え、平成23年11月からは信州大学医学部皮膚科にも同様の装置を設置し、2か所での臨床研究を開始した。医療従事者は装置を起動後、装置に接続されたスイッチを押すだけで患部を計測できるように、既設装置に搭載されていたソフトウェアの改良を実施。1回の事前説明のみで以後トラブルなく計測が実施できている。本年度を含む3年間で200症例以上の患部の計測を実施。特に2台体制構築後は従来以上のペースで症例情報の蓄積を推進。メラノーマの診断ソフトウェアにも改良を加え、感度93%、特異度100%を達成。近年市場に投入された類似商品に比べ、はるかに高い特異度を達成したことから、本装置は不要な生検を避けることができるというメリットがあることが判明した。メラノーマ以外の分野へのハイパースペクトラルイメージング技術の応用に関しては、内視鏡領域への技術移転を検討。従来の内視鏡の鉗子口に挿入可能なベビースコープとハイパースペクトラルイメージャーを接続することで、消化管内部のハイパースペクトラルデータの計測を実現することを検討している。今年度は当該技術を実現可能な企業の選定と、研究計画の策定を実施した。また、眼科領域におけるハイパースペクトル診断も実施。眼底用ハイパースペクトラルイメージャを用いて、眼底のハイパースペクトラルデータを計測。皮膚のメラノーマを診断する同じ手法を用いることで、眼底にできるメラノーマも診断できる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はメラノーマのハイパースペクトル診断に関しては、ハイパースペクトルデータの蓄積と、ソフトウェアの改良、診断精度の向上の3点を目的に研究を推進した。これまでに200例以上のハイパースペクトルデータの蓄積に成功。医療従事者にも容易に操作可能なソフトウェアを実現、診断精度も感度・特異度ともに大幅に向上させることに成功したことから、当該研究はおおむね順調に進展していると評価することができる。ハイパースペクトラルイメージング技術のメラノーマ以外の領域への応用に関しては、内視鏡分野と眼底分野への応用を検討し、その実現可能性の調査を推進。内視鏡分野に関しては平成24年度以降に実現する可能性が極めて高くなった。眼底分野では眼底にできるメラノーマを従来手法で診断できる可能性が示唆された。以上の結果から、当該研究に関しても、おおむね順調に進展していると評価することができる。
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Strategy for Future Research Activity |
メラノーマのハイパースペクトル診断に関しては、引き続き症例の蓄積を進める。これまでのデータで既存商品に比べ十分な有用性を持っていることがほぼ確認できつつあることから、成果発表を積極的に推進し、装置の追加投入などを検討し、さらなる症例数の増加・加速を狙う。特に海外での成果発表を通じ、当該装置の欧米、オーストラリアなどでの海外展開を目指す。ハイパースペクトル技術のメラノーマ以外の分野への応用に関しては、引き続き内視鏡分野と眼底分野に集中し、両者の装置としての完成度を高める。内視鏡分野は平成24年度までに試作機の完成を目指し、ブタなどの動物を使った実験に取り組む。眼底分野では引き続き症例数の増加を図り、当該装置でのハイパースペクトル診断の有用性評価に取り組む。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
引き続き、医療従事者からのフィードバックを活かし、装置・ソフトウェアの改良を進めるため、必要なパーツ・ソフトウェアを購入する。また、積極的な成果発表を目指し、国内・国外ともに成果発表旅費を計上し、国際学会等で当該装置のアピールを実施する。また、論文作成を通じた成果発表にも取り組み、そのために必要な経費を計上する。
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Research Products
(4 results)