2012 Fiscal Year Research-status Report
ハイパースペクトルイメージング技術を用いたがん診断
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23700584
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
永岡 隆 早稲田大学, 理工学術院, 講師 (00367054)
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Keywords | ハイパースペクトラルイメージング / メラノーマ / 内視鏡 / 眼底 |
Research Abstract |
本年度は昨年度に引き続き、実用仕様のハイパースペクトラルイメージャを用いた臨床研究を実施した。症例数は総数で300例を突破し、データベースの構築が順調に進んでいる。これまでの研究で開発された指標では、正診率80%を維持しており、既存の装置に比べはるかに高い性能を持っていることが確認されつつある。臨床現場でのトラブルは昨年度以降も報告されておらず、臨床現場でのニーズにマッチした装置が完成しつつあると評価できる。より高い正診率を実現するため、既存のSpectral AngleとEntropyを組み合わせた指標のみならず、Spectral Angle自体の値の変動や、Spectral Angleの度数分布をフーリエ変換し、その値の変動からメラノーマの悪性度を判別する新しい指標を開発。既存指標に比べ、正診率90%以上と高い性能を示していることから、既存の指標に加え、新しい指標を実用仕様のハイパースペクトラルイメージャに搭載することを検討している。 メラノーマ以外の分野へのハイパースペクトラルイメージング技術の応用として、昨年度に引き続き、内視鏡と眼底への技術移転を実施。特に今年度は内視鏡に組み込むことができるハイパースペクトラルイメージャの試作機を開発、装置にソフトウェアを組み込み、正常に動作することが確認されたので、次年度以降、ブタなどを使った動物実験に取り組む予定である。 論文発表や学会発表等の成果発表も積極的に実施。特に国際学会では単一指標ながら高い正診率を誇る我々のシステムが高い評価を得た。次年度以降は海外での装置の販売を目指し、まずは海外の薬事制度の確認と共同研究機関の選定を実施する。特にメラノーマの発生率がオーストラリア同様高く、薬事制度が整っている北欧での展開を狙い、視察や現地との調整を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はメラノーマ診断装置については症例数の増加を主眼に置いて研究を推進してきた。症例数は順調に増加しており、総数で300症例を突破した。最終的な目標である1000症例を目指し、次年度以降はさらに装置を追加制作し、国立がんセンターに設置する方向で準備が進められているなど、当初計画通りかそれ以上のペースで研究が進められている。 メラノーマ以外の分野においても、内視鏡での使用が可能なハイパースペクトラルイメージャが完成し、動物実験の実施が可能な状態を整備することができた。今年度は生体内での計測を目標に研究を推進してきたが、ファイバーの調達遅れや、倫理審査の遅れなどで、生体内の計測は鼻腔や口腔内など一部に限られた。次年度以降はブタを用いた動物実験の計画がすでに立案済みであり、順調に研究計画を実施できることが予想される。
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Strategy for Future Research Activity |
メラノーマのハイパースペクトル診断に関しては、引き続き症例の蓄積を進める。これまでのデータで既存商品に比べ十分な有用性を持っていることがほぼ確認できつつあることから、装置の追加投入などを検討し、さらなる症例数の増加・加速を狙う。次年度では国立がんセンターへの装置の設置・計測開始を目指す。また、成果発表を積極的に推進し、当該装置の欧米、オーストラリアなどでの海外展開を目指す。次年度ではメラノーマ患者数がオーストラリア同様に多く、薬事制度が比較的整備されている北欧での装置の設置ならびに共同研究先の選定を進める。 ハイパースペクトル技術のメラノーマ以外の分野への応用に関しては、次年度は内視鏡分野に集中する。昨年度までに完成した試作機を用い、ブタなどの動物を使った実験に取り組む。実験後には実際に使用した医師からのフィードバックを受け、ソフトウェア・ハードウェアの改良を実施し、装置の完成度を高めることを目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
引き続き、医療従事者からのフィードバックを活かし、装置・ソフトウェアの改良を進めるため、必要なハードウェア・ソフトウェアを購入する。また、積極的な成果発表を目指し、国内・国外ともに成果発表旅費を計上し、国際学会等で当該装置のアピールを実施する。また、論文作成を通じた成果発表にも取り組み、そのために必要な経費を計上する。
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