2011 Fiscal Year Research-status Report
感覚系アプローチを取り入れた高齢女性のための転倒予防バランス訓練の開発
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23700596
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
前田 佑輔 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任研究員 (00404765)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 高齢女性 / 転倒予防訓練 / 感覚撹乱 |
Research Abstract |
平成23年12月から平成24年3月にかけて、高齢者20名(男性8名、女性12名)のデータを収集した。初回評価において、重心動揺データ、下肢筋力、足底面感覚機能、下肢関節可動域、臨床バランステストについてデータ収集を行った。重心動揺データ測定では、30秒の静止立位時の身体重心の動揺量について、立位バランスに重要である感覚情報を撹乱変化させ4条件(マットおよびゴーグルを使用)で記録した。さらに、直立位を保持したまま身体を前後左右へ最大限傾斜させるクロステストを実施した。下肢筋力測定には徒手筋力測定器を使用し、股関節、膝関節の最大筋力を測定した。感覚機能検査では、足底面の2点識別覚閾値を記録した。関節可動域については、角度計を用いて下肢の各関節柔軟性をチェックした。臨床バランステストでは、前方へのリーチ動作の距離計測と運動課題の遂行度で加点するバランステストを実施した。これらの結果を男性群と女性群に分けて集計し、平均値等を算出するとともに、男女差に関する統計検定を実施した。 結果として、男性群と比較して女性群は下肢筋力が有意に低かったが、足底面の感覚機能は踵部においてやや高かった。重心動揺データに関して、クロステストで女性群は後方への傾斜がやや大きい傾向にあることが判明した。また、通常条件(マット・ゴーグルなし)と比較して感覚撹乱条件(マット・ゴーグル使用)では、男性群の方が撹乱の影響を受け、動揺距離や動揺速度の増加の程度が大きくなる結果であった。これらの重心動揺データの男女差は、足底面の感覚機能の違いが影響を与えていることが示唆される。 本結果から、次年度は感覚情報を用いたバランストレーニングプログラムを作成し、被験者に週2~3回以上、1か月間にわたり実施してもらう予定である。そのトレーニングの実施前後でバランス能力を比較し、訓練効果を検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度内に高齢者実験を実施できたため、計画通りに進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度において、バランストレーニングプログラムを作成し、その効果判定を実施する予定である。また、被験者数が十分ではないため、新たに被験者を募りサンプル数を増やすことを検討している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験打ち合わせ、実験でのデータ収集などによる旅費に計400000円、論文の英語翻訳、被験者謝金にかかる人件費・謝金に100000円、論文投稿のための費用に100000円をそれぞれ予定している。
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