2012 Fiscal Year Research-status Report
高齢者の体幹姿勢と歩行の質(歩幅距離や速度など)との関係調査と歩行指導の開発研究
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23700604
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
榎 勇人 高知大学, 医学部附属病院, 理学療法士 (40598538)
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Keywords | 老化 / 立位姿勢 / 歩行 / 転倒 |
Research Abstract |
平成23年度の研究結果から、脊柱の直立・後屈角度が通常歩行の歩幅・歩行速度と相関性を示し、歩行の質を表す床反力鉛直成分の2峰性の有無に、歩幅の増大が関係することが明らかとなった.直立角度は円背の程度を表すため、円背を予防し脊柱後屈角度を維持改善すれば歩幅の増大につながり歩行の質も維持できることが示唆された. そこで、今年も継続したデータ計測と円背予防の介入目的に、高知県室戸市の特定健診(平成24年10月15日~19日実施)に参加された268名のうち、杖などを使用せずに歩行をしている60歳以上の参加者201名(男性75名、女性126名、平均年齢は69±5歳)を研究対象とし、調査・介入を行った。 調査は、①体幹姿勢の写真、②Spinal Mouseのよる脊柱矢状面解析、③歩行解析機器(Gait Scan)による歩幅の距離・時間の評価と、④運動機能評価(UP&GOテスト、Functional Reachテスト)並びに⑤アンケート調査(過去1年以内の転倒歴など)を行った。介入は、パンフレットの配布により簡単な体幹のストレッチ方法を指導した。 結果、Spinal Mouseの平均値(前屈が正、後屈が負の値で表示)は、直立姿勢:3.2±3.1°、前屈姿勢:102.8±17.5°、後屈姿勢:-23.8±9.2°であった。また、UP&GOテストの平均値は、7.41±1.5秒、Functional Reachテストの平均値は30.35±5.26cmであった。転倒歴の有無は、転倒歴あり22名であった。 さらに歩行解析の結果、通常歩行に比べ前を向いて背筋を伸ばすことを意識させると、歩幅は60.6±7.2cmから63.0±7.0cmに、1歩時間は527±40msecから521±38msecに有意に変化し(p<0.01)、歩行速度も有意に増加し、2峰性の出現率も84.1%から92.0%に増加した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の研究データに基づき、平成24年度も継続したデータの取得を行っただけではなく、老化における歩行の質の維持向上を目的とした介入も行えたため。
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Strategy for Future Research Activity |
3年間継続してデータが取得できた方を対象に、年齢を重ねるにつれた経年的な姿勢の変化や歩行の変化を検証する。さらに、平成24年度介入して指導した体幹伸展運動の継続性などから姿勢や歩行データの改善性を調べ、介入効果を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
データ取得および、データ処理のための機器やパソコン、ソフト関連の購入や人件費。さらに関連学会への参加や演題発表などの旅費に使用予定。
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Research Products
(3 results)