2012 Fiscal Year Research-status Report
ステロイド筋症に対する低強度筋収縮運動と温熱刺激を併用した新たな治療の効果を探る
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23700605
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
森本 陽介 長崎大学, 大学病院, 理学療法士 (40534409)
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Keywords | 筋萎縮 / 温熱刺激 / 低強度運動 / ステロイド |
Research Abstract |
本研究では,前年度に示した温熱負荷と低強度筋収縮運動の併用がラット腓腹筋の廃用性筋萎縮の進行を抑制できる結果をもとに,温熱刺激と低強度筋収縮運動の併用がステロイド筋症ラットに及ぼす影響を検討することである.実験動物には8週齢のWistar系雄性ラットを用い,これらを無作為に,生理食塩水を投与する対照群(C群),ステロイド筋症を惹起させる目的で2週間のステロイド剤投与を行うSteroid群(S群),ステロイド剤投与中に温熱負荷を実施するSteroid &Heat群(SH群),ステロイド剤投与中に低強度の筋収縮運動を実施するSteroid &Electrical stimulation群(SE群),ステロイド剤投与中に温熱負荷と低強度の筋収縮運動を併用して実施するSteroid &Heat &Electrical stimulation群(SHE群)に振り分けた.生理食塩水およびステロイド剤は1週間に6日間の頻度で2mg/kg量を傍脊柱に皮下投与した。温熱負荷は約42℃の温水浴内に60分間ラットの後肢を浸漬する方法で行った.筋収縮運動は経皮的に電気刺激する方法で行い,刺激条件は刺激強度2mA,周波数50Hz,パルス幅250μsec,実施時間20分とした.いずれも3日に1回の頻度で実施した.試料は長趾伸筋を供した.その結果,体重においてC群と比較してその他の群では著しい体重減少を認めた.筋湿重量と相対重量比ともにS群が最も低値を示し,次いでSH群,SE群,SHE群の順に高値となった.従って,ステロイド 筋症ラットに対して温熱刺激または低強度筋収縮運動を単独で負荷するよりも,両者を併用した方が筋萎縮の進行抑制効果を得られることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの自験例において廃用性筋萎縮に対して低強度の筋収縮運動と温熱刺激の併用が有用であることは明らかになっていたが,低強度の筋収縮運動のみでの効果は検討できていなかった.そこで,昨年度はこの点に関する基礎データを得る目的で実験を行い,低強度の筋収縮運動よりも温熱刺激を併用した方が効果があることが明確となり,今年度からはステロイド筋症に対するこれらの影響を検討した.その結果,ステロイド筋症ラットに対しても温熱刺激と低強度の筋収縮運動を併用した方が最も効果的であることが分かった.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの結果から, ステロイド筋症ラットに対して温熱刺激と低強度の筋収縮運動の併用することは,各刺激を単独で負荷するよりも効果的である可能性があることが分かった.そのため,今後はその効果を明確にするための検索とその分子メカニズムの検討が必要である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験用ラット50匹125000円,ステロイド剤10個50000円,PCR primer(atrogin-1, MuRF1) 各1個5000円,RNeasy Fibrous Tissue Mini Kit 1個50000円, Quanti TectR Rev. Transcription Kit 2個80000円,Briliant III Ultra-Fast SYBR Green 2個80000円,実験用一般薬品10000円,実験消耗品50000円,国内成果発表旅費100000円,海外成果発表350000円 合計900000円.
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Research Products
(11 results)