2012 Fiscal Year Research-status Report
音声視覚化システムを用いた音声解析と言語療法応用への試み
Project/Area Number |
23700607
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
新中須 真奈 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 客員研究員 (60457653)
|
Keywords | 音声視覚化システム / 視覚化音声 / 異常構音 / 構音訓練 / 口蓋裂 / 口蓋裂音声 |
Research Abstract |
口蓋裂のもたらす構音障害は鼻咽腔閉鎖機能不全を原因とするものとそれ以外のものとに分けられる.鼻咽腔閉鎖機能不全による異常構音は口蓋形成手術や咽頭弁形成術によって改善できる.一方,鼻咽腔閉鎖機能改善後も異常構音が残る場合があり,口蓋化構音,側音化構音として着目されている.口蓋化構音や側音化構音の原因は口蓋形態の異常,舌運動異常習癖など多岐にわたるため,病態の解明に困難を要し,効果的な構音訓練方法は確立されていない.本研究は,これらの異常構音発生原因を音声から捕え,自己の発声する音声を視覚的にフィードバックさせながら効果的に構音訓練を行うシステムを構築することを目的としている. 前年度までに,顎変形症手術前・後の構音を解析・比較し,咬合の変化による差異を検討し,健常者と顎変形症患者の間にある差異についても音声視覚化システムを用いて検証した. 本年度は,1)音声可視化システムを用いた顎変形症患者の構音パターンの解析結果について発表するため,学会雑誌への投稿を準備している,2)顎変形症患者に用いた音声視覚化システムを応用して,口蓋裂患者の構音パターンを視覚化する方法を検討した.健常者と口蓋裂患者の間に違いがあることを,音声視覚化システムを用いて示すことができた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は,2年間の研究期間で,1)口腔顎顔面疾患,耳鼻科疾患を有しない健常で正常咬合者の音声を視覚化して正常者の基準パターンを作る,2)顎変形症手術前・後の構音を解析・比較し,咬合の変化による差異を検討する,3)歯列不正患者の構音が歯列の改善に伴って経時的にどのように変化するかを検討する,4)歯列形態を模型から三次元的に解析し,構音と歯列形態との関連を解明する,5)口蓋裂患者の音声パターンから異常構音の要因を探れるかの検討を行い,音声視覚化システムの構音治療への応用を目指す,ことを目的としている. 目的1),2),3)に関しては結論を得ることができたが,学会雑誌への投稿が遅れている.また,目的4),5)に関しては,口蓋裂患者の音声パターンを視覚表示することはできたが,口蓋化構音や側音化構音といった口蓋裂患者特有の構音障害を明確に表示することが困難で,口蓋裂音声の特徴を視覚化表示する方法を現在検討中である.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は,口蓋裂患者の構音障害を,口蓋化構音や側音化構音といった構音障害ごとに視覚的に理解できるように,口蓋裂患者の異常構音を収集して音声パターンを解析し,特徴的な視覚パターンで表示する方法を検討する. さらに,歯列不正患者や口蓋裂患者の構音が,外科手術による器質的な口腔環境の改善に伴って経時的にどのように変化するのかを解明するために,歯列形態・口蓋形態を模型から三次元計測装置を用いて3次元的に分析し,咬合形態,歯列形態,口蓋形態と視覚化音声パターンの関連を見出す. これらの研究で得られた音声パターンから異常構音の要因を探れるのかを検討し,音声視覚化システムの構音治療への応用を目指す.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究に用いる音声解析器と録音機器を購入後に生じた余剰金を,音声解析システムのバージョンアップに用いたい. また,成果発表のための学会参加費,論文作成のための参考文献収集ならびに英文校正費,論文印刷費として用いたい.
|