2011 Fiscal Year Research-status Report
直立二足歩行を行うヒトの股関節内転筋は内転作用のために存在するのか?
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23700615
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Research Institution | Ibaraki Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
滝澤 恵美 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 講師 (70325976)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 大内転筋 / 筋の形態 / 機能 |
Research Abstract |
【目的】大内転筋を任意の4つの筋束に分けてその形態を詳細に調べ機能を検討した。【方法】男性ホルマリン固定遺体7体7肢の大内転筋各筋束(AM1-AM4)の体積,筋長,筋線維長,生理的断面積(PCSA)を計測した。さらに比較群として恥骨筋(PE),長内転筋(AL),短内転筋(AB)についても同様の項目を計測した。計測値は各々の大腿長を用いて標準化を行った。標準化後の体積,筋長,筋線維長,PCSAの平均値を用いて主成分分析を行った。また主成分分析で分類されたグループ間で形態値を比較するためにScheffeの線形対比を用いて多重比較を行った。【結果】大内転筋の筋束のうちAM3およびAM4が大きく,各々が大内転筋総体積の約30%を占めた。AM1-AM4とPE,AL,ABから得られた体積,筋長,筋線維長,PCSAの計測値を用いて主成分分析を行った。固有値が1以上を示した主成分は第一主成分のみであった。計測した筋群は,第一主成分スコアが負のAM1・PE・ABと正のAM2-AM4・ALの2つのグループに分類された。 異なるグループに属したAM1とAM2-AM4で各計測値をScheffeの線形対比を用いて多重比較した結果,筋長と筋線維長(p<0.01),体積(p<0.05)で有意差を認めたが,PCSAでは有意差は認められなかった(p>0.05)。【考察】筋線維は定まった長さのサルコメアからなるため,筋線維長が長い程,サルコメアが多く並び関節を大きく動かすことが可能である。一方,PCSAは筋線維の数と太さを反映するため,PCSAが大きい程,発揮される力が大きい。筋線維長がAM1より有意に長いAM2-AM4は股関節に大きな可動域や運動性をもたらす筋束であると推察された。一方,筋線維が短く関節近くに配置されているAM1は関節の動的安定性を担う筋束であると推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、2つの視点から大内転筋について検討する。1つ目の視点は筋の形態から張力特性を検討することである。本年度検討を行い成果報告を出せたことから本研究はおおむね順調に進展していると考える。なお、もう1つの視点として大内転筋の関節回転作用を検討する予定である。こちらはデータ収集に利用する予定でいたデジタイザーが故障したため、本年度購入予定だった関連備品について調整が必要となった。
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Strategy for Future Research Activity |
大内転筋の関節回転効果をモーメントアームベクトルを求めることで検討する予定でおり、そのために骨と筋の任意の点をデジタイズする必要がある。これを達成するために磁場式の既存デジタイザーに新しいセンサーを取り付け利用する予定でいた。しかし、このデジタイザーの既存コントロールシステムに不調が確認された。そのため、この不備ヶ所の確認および修理に時間がさかれ、結果として本年度購入予定だった関連備品の購入に調整が必要となった。今後は、限られた予算のなかで既存のデジタイザーが再度利用できるよう調整する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
大内転筋の関節回転効果をモーメントアームベクトルを求め、この筋のヒトにおける役割を検討する。そのために、データ収集のために利用する計測機器の備品(センサー)の購入を決定する。また、実際に実験を行う実験施設へ向かう必要があるため旅費を執行する。
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Research Products
(1 results)