2013 Fiscal Year Annual Research Report
直立二足歩行を行うヒトの股関節内転筋は内転作用のために存在するのか?
Project/Area Number |
23700615
|
Research Institution | Ibaraki Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
滝澤 恵美 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 講師 (70325976)
|
Keywords | 股関節内転筋 / 形態 / モーメントアーム / 機能 |
Research Abstract |
【研究目的】股関節内転筋群は複数の筋で構成され大腿筋の約3割を占める。筋の数や大きさといった形態的特徴は機能的な重要性を示すが、直立二足歩行を行うヒトの股関節内転筋群の数の多さや大きさを内転作用で説明するには無理がある。本研究の目的は,内転筋(恥骨筋:PE,長内転筋:AL,短内転筋:AB,大内転筋:AM)の形態的特徴とモーメントアームの方向および大きさを計測し,ヒトにおける本筋群の機能や役割を検討し運動療法に活かす情報を得ることである。 【研究方法】形態は,ホルマリン固定遺体 21体21肢を用いて調べた。各内転筋の体積,筋長,筋線維長,生理的断面積を計測し,神経支配を確認した。モーメントアームは,未固定標本5体5肢を用いた。骨盤を木製ジグに固定し大腿骨を屈曲・伸展方向に験者が動かし,磁気式3次元位置センサーを用いて骨および筋の指標点の座標変化を記録した。得られた座標値を用いて,股関節軸に対する各成分(屈曲/伸展,内転/外転,外旋/内旋)を算出した。 【研究結果および考察】PE,AB,AM近位部は,短い筋線維と小さな横断面積を有する純粋な内転成分を持つ筋であった。これらの筋は狭い範囲で小さなモーメントを発揮し,外転筋との同時収縮によって様々な方向から加わる外力との合力(関節間力)を内向化させることで関節面の応力集中を防ぎ,関節面を保護すると考える。ALとAM遠位部は,長い筋線維と大きな横断面積を有し内転成分以外に十分な屈曲または伸展成分を内包していた。これより下肢を様々な位置から中間位に戻しかつ維持する機能を有する筋であると示唆された。股関節内転筋群が複数の筋で構成されるのは,筋毎に優位な機能や役割を有するからである。その機能は,関節保護,可動・制動,抗重力である。運動療法を行う際にはこれらの機能と筋の特性を考慮し運動課題や負荷量を設定する必要がある。
|
Research Products
(5 results)