2011 Fiscal Year Research-status Report
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23700620
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Research Institution | Bunkyo Gakuin University |
Principal Investigator |
黒澤 也生子 文京学院大学, 保健医療学部, 助手 (00515827)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 行動評価 / 脳損傷 / 日常生活活動 / 認知機能障害 |
Research Abstract |
行動評価表の作成にあたり、66の調査項目に対して、研究協力病院の作業療法士に依頼し、脳損傷患者180名のデータを収集した。さらに、性別、年齢、発症日、意識レベル(JCS)、注意機能(Ponsford,注意評価スケール)、認知機能評価(MMSE)、日常生活の自立度(FIM)の結果をカルテより収集した。得られたデータに対して因子分析を実施したところ、5因子30項目が抽出された。第1因子:状況判断8項目(α信頼数係数0.980)、第2因子:行動の調節7項目(α信頼数係数0.902)、第3因子:記憶7項目(α信頼数係数0.939)、第4因子:心の理論5項目(α信頼数係数0.903)、第5因子:保続3項目(α信頼数係数0.803)。注意評価スケール(14項目)からは、第1因子:分配性注意8項目(α信頼性係数0.955)、第二因子:覚醒6項目(α信頼性係数0.931)が抽出された。行動評価から抽出された5因子間と注意評価スケール2因子、およびJCS,MMSE, 日常生活自立度(FIM)との間には、強い相関を認めた(r=0.427~0.688,p<0.01)。意識清明がグループとそれ以外では、すべての因子得点に差がみられた(p<0.01)。 FIM得点の自立群と非自立群との間には、すべての因子得点に差が見られた(p<0.01)。重回帰分析では,覚醒(JSC)は注意(覚醒)に影響し、注意(覚醒)は状況判断、行動の調節、保続に影響していた。注意(分配性)は状況判断、行動調節、心の理論に影響していた。FIM総合得点には行動評価表の第1因子の状況判断(β=-0.367,p<0.01)と注意評価の第1因子(β=-0.439,p<0.01)に関する項目が影響力を持っていた.得られた結果の一部を国内外の学会に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初、データ収集の期間に1年半を想定していたが、研究協力病院のスタッフの協力により、1年間で完了し、一部を成果発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は以下の手順で解析を進めていく。1.得られたデータを統計ソフトを用いて、詳細に解析し神経心理学的データとの関係を調べ、妥当性を検証する。その際に、評価項目の表現の仕方についての精査を実施する。2.また、重症群と非重症群を比較し、回復段階との関連を調査する。3.日常生活の自立度(FIM)との関連を明確にし、回復段階を確認できるか調査する。4.得られた結果について、国内外の学会に成果発表および資料収集を行い、不足データがあれば、研究協力施設にて再調査を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究協力施設でのデータ収集にあたり、研究打ち合わせのための交通費や謝礼金を予算に計上していたが、研究費執行時期よりも前に実施せざるを得なかったため本研究費を用いることが出来ず残金が生じた。データ収集が予定期間よりも早期に完了したことから、本年度は、データの解析を進めるとともに、国内外学会への成果発表を中心に行う。成果論文の執筆にあたり、国内外の学会へ積極的に参加し、脳損傷患者の行動評価表について、現状調査を行う。学会発表の際にデータの不足を指摘された場合には、必要に応じて追加調査として、検査器具を購入し、研究協力施設にてデータ収集を実施する。今年度の残金については、研究成果発表にあたっての、研究打ち合わせ費や追加データ収集時の謝礼や物品購入費として使用することとする。
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Research Products
(3 results)