2011 Fiscal Year Research-status Report
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23700621
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Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
斉藤 琴子 帝京平成大学, 地域医療学部, 講師 (20599758)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 歩行 |
Research Abstract |
本研究は,リズム形成能力の低下が見られる高齢者および脳血管障害片麻痺者(片麻痺者)は,歩行時に相対的なタイミングの獲得が困難なため歩行能力向上を妨げる一因となっているのではないかと仮説をたて,歩行速度を速くする練習だけでなく聴覚リズムを用い様々な速度に対応する歩行練習を行うことにより,多様性のある歩行の獲得へ繋がる「聴覚リズムを用いた歩行能力向上プログラム」を確立することを目的とする。 2011年度は「歩行時の相対タイミングの不変性の有無」について,健常若年者を対象に遅いテンポである30(beats/min)から速いテンポである190(beats/min)まで様々なテンポに同調した歩行を施行し,リズム形成および筋活動量の変化から歩行運動制御について検討した。測定方法は7種類のテンポの音に同調した歩行を施行し,前脛骨筋と腓腹筋の活動を表面筋電図にて記録した。その際に10m歩行速度の測定を行った。解析は1歩行周期を100%とし,立脚期と遊脚期から相対的な時間比および筋活動量比を求めた。 その結果,前脛骨筋と腓腹筋の筋活動量比に関してはテンポの増減による有意差は認めなかったが,時間比に関しては,極めて遅いテンポである30(beats/min)と速いテンポである 190 (beats/min)との間に有意差を認めた。 Shapiro(1970)は同じ一般化された運動プログラム(generalized motor program:以下GMP)に支配される動作では相対タイミングは変化しないと述べている。だが,時間比においては相区分が明白な相対タイミングがみられたことから,多様な「歩行」というカテゴリー内で同一の歩行プログラムであるGMPによってではなく,異なるGMPによって遂行されると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初,2011年度は健常中高年者と地域在住高齢者を対象に測定する予定であったが,健常若年者も測定対象に加えたため研究計画が広がった。これに伴い,部分的に見れば遅れているが,全体から見ると進捗状況は予定通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
「高齢者を対象とした相対タイミングを利用した歩行訓練」として,リズム音を録音した音楽プレーヤー群(カセットテープ、CD他)にて聴覚リズムに同調した歩行群(聴覚リズム歩行群)と何も聞かせずに歩行した群(コントロール群)とを比較し,リズムを用いた相対タイミングの獲得による歩行能力向上の妥当性、信頼性について検討を行う。「片麻痺者を対象とした歩行時の相対タイミングの有無の解明」として,脳血管障害後6カ月が経過した維持期の片麻痺者を対象に,歩行時の相対タイミングの不変性の有無を明らかにする。その上で,「片麻痺者を対象とした相対タイミングを利用した歩行訓練」を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2011年度に得た結果についての研究成果発表,2012年度の測定で使用する被験者謝礼金,また,フットスイッチ,ディスポ-ザブル電極などの消耗品に用いる。
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