2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23700621
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Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
斉藤 琴子 帝京平成大学, 地域医療学部, 講師 (20599758)
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Keywords | 歩行 |
Research Abstract |
歩行速度を様々変化させ歩行した場合、「絶対的なタイミング」は変化するが「相対的なタイミング」は変化しない。この故に歩行は多様な速度で行なわれると共に速度変化も効率よく遂行できるとされている。本研究はリズム形成能力の低下が見られる脳血管障害片麻痺者(以下片麻痺者)は相対的なタイミングが獲得できないために歩行能力の向上が見られないのではないかと仮説をたて,歩行速度と歩行周期における相対的時間比から検討した。 対象者は屋外歩行を自立している維持期の片麻痺者とした。課題を16m平地路とし「遅い」「快適」「速い」という主観的な3種類の歩行速度で各3回歩行することとした。歩行周期の立脚期および遊脚期の時間およびタイミングを同定するため,麻痺側足底(踵部と第一中足底)にフットスイッチを貼付し,歩行周期の立脚相の時間比を求めた。歩行速度はストップウォッチを用いて測定し歩行速度を計算した。安定した15歩行周期3施行分を採用した。3種類の歩行速度について単回帰分析を行った結果,有意な相関関係がみられ,速度は均等に増加した。「遅い」「快適「速い」歩行での3種類の時間比に関して,一元配置の分散分析が有意であったためTukey-Kramer法による多重比較検定を行った結果,3種類の各群間に有意な差がみられた。 「遅い」「快適」「速い」という歩行速度の違いにより相対タイミングはそれぞれ異なっていた。片麻痺患者では歩行速度によって歩行形態がそれぞれ異なることが示唆された。Schmidtは,頻回に練習したとしても一度定着した相対タイミングのパターンを変化させることは難しいため,早期の練習でパターンの修正が望ましいと述べている。歩行速度に着目してトレーニングをするだけではなく,様々な速度域で相対タイミングを意識したトレーニングを行うことで,適応性の増加を図り歩行能力の再学習への更なる促進に結び付く可能性が考えられる。
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