2012 Fiscal Year Research-status Report
呼吸筋群の誘発筋音図を用いた新しい呼吸機能検査法の開発
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23700628
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
渡辺 彰吾 帝京大学, 医療技術学部, 助教 (20548341)
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Keywords | 呼吸筋 / 誘発筋音図 / COPD |
Research Abstract |
本研究では、簡便で再現性の良い新しい呼吸機能検査法を開発するため、呼吸筋群(横隔膜筋,腹壁筋)の誘発筋音図に着目した。本手法は、従来のスパイログラムによる呼吸機能検査法とは異なり、皮膚表面から電気刺激を行い、呼吸筋群の誘発筋音図を測定するだけで良い。そのため、被験者に強制呼吸の努力を強いる必要がなく、臨床検査技師の声かけ技術にも左右されないため、正確で再現性の良い呼吸機能検査を実施することが可能となる。本手法は、現在問題となっている長期間の喫煙による慢性閉塞性呼吸器疾患(COPD)の予防、早期発見、早期治療にも役立つことが期待される。本研究の目的は、「横隔膜および腹壁筋の誘発筋音図を用いた簡便かつ再現性の良い新しい肺機能検査法の開発」の提案であり、昨年度(H23年度)はその可能性を検討するために、健常者を対象として横隔膜および腹壁筋の誘発筋音図とスパイログラムの各肺機能パラメータ (肺活量、1秒量、1秒率)を測定し、誘発筋音図の有用性について考察したが、測定条件が定まらず、データのばらつきが大きいため、測定データを増やすことが困難であった。したがって、H24年度は測定条件の見直しと共に、海外学会(欧州呼吸器学会)への研修に行くなど、積極的に研究推進への努力を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本来であれば、COPD患者を対象とした臨床研究へと移行したいと考えているものの、患者を対象とする以上、計測時間や計測項目を最適化する、電気刺激の強度ないしはその苦痛をいかに最低限にするか、またそれにともなう倫理委員会の承認など超えるべきハードルは高いため、基礎的な検討には多大な時間と労力が必要になるため。
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Strategy for Future Research Activity |
H23年度とH24年度において、被験者に苦痛を与えず、また必要最低限の計測項目を選ぶことができたため、最終年度はさらなる健常被験者のデータ採取と平行して、老齢者のデータ採取にも挑戦する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究代表者は、H25年4月より、名古屋大学医学系研究科へ新しく移籍した。それに伴って、前所属大学で使用できていた機材を新しく購入する必要がでてきたため、専用の筋音図測定機器であるメディセンス製の筋音計(約60万円)を新しく購入する。また、その他にも研究成果に応じて国内・海外学会への参加、データ解析のためのソフトウェア、被験者への謝金支払いなど、これらの費用として計112万7881円を計上している。
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