2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23700630
|
Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
佐々木 信幸 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (60328325)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 国際情報交流 |
Research Abstract |
近年、高頻度または低頻度の反復性経頭蓋時期刺激(repetitive transcranial magnetic stimulation、以下rTMS)により慢性期の脳卒中患者の片麻痺が改善することが報告されているが、急性期~亜急性期の脳卒中に対するrTMSの効果や安全性についての報告は皆無であり明らかでない。今年度の研究では、まず急性期~亜急性期脳卒中患者においてrTMSによる上肢麻痺の改善が得られるか、またrTMSのうち高頻度刺激と低頻度刺激のどちらがより効果的なのかについて、その安全性とともにRCTデザインで検証した。 初発の片側大脳の脳梗塞・脳出血患者29名を、無作為にHF-rTMS群(10HzのrTMSを患側大脳に施行、n=9)、LF-rTMS群(1HzのrTMSを健側大脳に施行、n=11)、Sham群(rTMSを施行するふりのみ、n=11)の3群に振り分け、5日間連続のrTMS治療を行った。5日間のrTMS治療前後に全対象で握力(GP)・30秒間手指屈曲回数(TAP)を測定し、3群間でその変化に差があるかを統計的に比較した。 全対象は5日間のプロトコールを有害事象なしに完遂した。HF-rTMS群・LF-rTMS群ともにSham群に比しrTMS施行後のGP・TAPが有意に高かった。また特にHF-rTMS群ではGP・TAPの変化量もSham群に比し有意に高く、より効果があると考えられた。 今回の結果は、大脳半球間抑制が脳卒中後数ヶ月後亢進する報告や脳梗塞モデルラットに対する急性期HF-rTMSで神経保護作用が認められた報告など、過去の基礎的研究結果との妥当性もあると考えられた。 今回世界で初めてヒトの急性期脳卒中患者に対するRCTデザイン研究においてrTMSの有効性を証明できた。本結果は学会発表および英文論文において公表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究目的の最大の焦点は急性期の脳卒中患者に対してrTMSの効果があるか否かであり、それについて統計的手法で結果を出すことができて、英語論文にて公表できたため予定通り進んでいると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究において、脳卒中発症急性期~亜急性期における患側高頻度刺激(HF-rTMS)の有効性を示したが、その効果には差があった。今後は、どのような症例により効果が高いかについて調査する。具体的には、rTMS開始前にTc-ECD SPECTを施行しeZIS解析で健側運動野血流増加が4SD以上ある群をIHI群、4SD未満の群をnIHI群、また患側運動野血流低下が4SD以上ある群をRE群、4SD未満の群をnRE群とし、それぞれ2群間でGPやTAPの変化に差があるかどうかを調べる予定である。 なお、施行してみてeZIS解析では正確さが担保できないと考えられた際にはSPECT RAWデータを用いたvbSEE解析も検討している。 rTMSの刺激方法は今年度の結果からHF-rTMSを選択する予定であるが、このSPECTによる事前解析で効果の差に何らかの傾向が認められた場合には、SPECT結果に応じて刺激方法を変更することも考えている。 また、今後上肢運動のみならず下肢運動野も含めた刺激を検討したい。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
rTMSに用いる刺激コイルには耐用刺激回数があり、今年度中に上限に達すると思われたが幸い上限を超えても使用継続が可能であったため購入を見送った。次年度にはおそらく寿命となるために購入を検討する。 その他、データ保存や患者説明用デバイス、データ解析のツール、患者への複合的刺激のためのツールを購入する予定である。 学会発表は次年度もおそらく2-3回、論文は1本書く予定であるためそれにかかる費用も計画する。
|
Research Products
(3 results)