2011 Fiscal Year Research-status Report
バーチャルリアリティを用いたパーキンソン病リハビリテーション効果の神経科学的解明
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23700632
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
橘 篤導 神奈川歯科大学, 歯学部, 非常勤講師 (80409995)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 / 国際情報交流 / Brooklyn, NY, U.S.A. |
Research Abstract |
当初の研究計画通り研究協力者らと共同研究を遂行することで、脳機能イメージング法を用いた神経科学的なアプローチ、そしてモーションキャプチャーシステム等を用いた運動学的なアプローチを研究代表者および研究協力者が役割分担を明確にして実験・解析を行うことで効率化を図り、研究体制を確立してきた。具体的には、(1)ボランティア被験者を募集し、(2)被験者にダンスビデオゲーム(DDR)のトレーニングを指導し、トレーニング前後における(3)運動学的アプローチによる定量解析および(4)脳機能イメージングによる神経科学的アプローチの解析を行い、その結果をまとめ上げてきた。(3)および(4)の解析結果は、順次成果が出たところで国際学会・国際誌などでの報告を行ってきた。現在のところ、国際学会における研究成果の発表3報、招待講演5回、学術論文(査読付きの専門誌掲載論文)の出版2報の成果をあげている。また現在、査読付きの専門誌掲載論文へ2報研究成果を投稿中であり、シンポジウムのオーガナイザーから招待を受け、2012年7月に開催される国際学会CME 2012で研究成果の発表を予定している。 パーキンソン病の有効的な新しいリハビリテーション法を神経科学的および運動学的両観点から確立させるという本研究の着想はこれまでに例がなく、世界に先駆けた画期的なものである。リハビリテーションに用いるダンスビデオゲームは世界的に普及し市販されている安価なものであり、従来のトレッドミル等による運動療法に比べより有効的・経済的で、尚かつ多くの患者が感じているリハビリテーションの負担を軽減できることが示唆される。このような研究背景の中で、2011年度に本研究で得られた結果と意義は、パーキンソン病患者における"生活の質"(Quality of Life;QOL)の向上への貢献に対し、一石を投じることができたといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通り研究協力者らと共同研究を遂行することで、脳機能イメージング法を用いた神経科学的なアプローチおよびモーションキャプチャー等を用いた運動学的なアプローチを研究代表者および研究協力者が役割分担を明確にして実験・解析を行うことで効率化を図り、研究体制を確立してきた。以下がその研究成果であり、自己点検によって「(2)おおむね順調に進展している」と評価できる理由である。国際学会の発表3報(【1】Ono Y. et al. Society for Neuroscience. Washington DC, USA. Nov 13 2011. 【2】Noah JA. et al. Society for Neuroscience. Washington DC, USA. Nov 15 2011. 【3】S. Bronner et al. Society for Neuroscience. Washington DC, USA. Nov 17 2011.)、招待講演3回(【1】認知機能と健康支援:リハビリへの応用「認知機能と複合タスク効果」 橘篤導 星城大学 特別講師招待講演 2011年11月24日 【2】認知機能と健康支援:リハビリへの応用「ダンスビデオゲームを脳科学で斬る」Noah JA. et al. 星城大学 特別講師招待講演 2011年11月24日 【3】「高齢者の認知機能診断を目的としたfMRI study」橘篤導 星城大学 特別講師招待講演 2012年3月15日)、学術論文(査読付きの専門誌掲載論文)の出版2報(【1】Tachibana A. et al. Neurosci Lett. 503(2):125-30. 2011. 【2】Noah JA. et al. J Exerc Physiology online. 14(4):13-28. 2011)
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に得られた成果を基に、平成24年度は以下のような段階を経て研究を推進していく予定である。(1)研究代表者および研究協力者全員により、ダンスビデオゲーム(DDR)を用いたパーキンソン病リハビリテーション法の有用性を運動学的および神経科学的両側面から検討し、それらを統合的に評価する。(2)(1)によって補足や再検証が必要なデータを追加する。その後、研究代表者および研究協力者全員により再評価を行う。(3)(1)(2)の成果がまとまり次第、国際学会・国際誌などでの報告を順次行う。(4)これまでの成果を基に、パーキンソン病のみならず認知症等の高齢者疾患に対する様々なバーチャルリアリティを用いたリハビリの有用性や実用性について運動学的および神経科学的両側面から検討をする。成果がまとまり次第、国際学会・国際誌等で報告する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費;脳機能計測用および運動学的データの解析用デスクトップ型コンピュータ(Apple社)を導入する予定である。また消耗品としてfMRI実験で視覚課題を提示するためのプロジェクターやスクリーン一式、解析データのバックアップ用のハードディスクドライブ等を含むパソコン周辺機器、ダンスビデオゲームによるトレーニングに用いるモニターディスプレイや音響機器、記録媒体としてビデオカメラおよびデジタルカメラ等を購入することを検討しており、70万円程度の支出を予定している。 旅費;兵庫県神戸市で開催される国際学会2012 ICME International Conference on Complex Medical Engineering (CME 2012)に参加の予定である。また、共同研究による光トポグラフィー実験を行うため明治大学理工学部・小野弓絵准教授の研究室へ、fMRI実験を行うため揖斐厚生病院・丹羽政美博士のもとへ出張を予定している。研究のディスカッションや成果の講演を行うために星城大学リハビリテーション学部・渡邊和子教授のもとへの出張も予定している。更に共同研究で実験および論文作成協力を得るためJ Adam Noah博士とShaw Bronner博士(Long Island University, 米国)を国内へ招聘することも予定している。40万円程度を予定している。 謝金;ダンスビデオゲームによるリハビリのトレーニングやfMRIおよび光トポグラフィーの被験者に対し、必要が生じた場合には謝金を支払う予定で、10万円程度の支出を予定している。 その他;執筆した論文の投稿料や学会参加費・登録費、印刷費等、20万円程度を予定している。
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Research Products
(5 results)