2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23700639
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Research Institution | Tokyo University of Social Welfare |
Principal Investigator |
上村 孝司 東京福祉大学, 社会福祉学部, 講師 (30580609)
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Keywords | 筋力 / EMG / リハビリテーション / スポーツ / 臨床 |
Research Abstract |
本研究は、ヒトにおいて効果的な筋出力増強の手段として拮抗筋条件収縮のメカニズム及び臨床への応用の検討を目的としている.平成24年度は,健常者における拮抗筋条件収縮を用いた筋出力増強に関する臨床的検証を行った.立位での底屈動作において,拮抗筋条件収縮を行わせた場合,ジャンプ動作,コントロールの3つを比較した結果,ジャンプ動作だけでなく拮抗筋条件収縮を行うことにより,底屈時の腓腹筋の神経的な要因の増加が認められた.また,伸張反射を伴うジャンプ動作との比較から,拮抗筋条件収縮による神経的な要因の増強は伸張反射とは異なる要因による可能性が示唆された.また,立位において加重状態での増強が認められたことから,臨床的応用への基礎的な資料になりうると考えられる. 平成24年度は5月に第47回日本理学療法学術大会にて「等尺性収縮における筋活動電位の立ち上がりによる神経要因の検討」,7月に17th European College of Sport Scienceにおいて「Potentiation of agonist muscle activities by antagonist conditioning contraction」というタイトルで発表を行った.また平成24年度に行った研究結果は,平成25年6月に18th European College of Sport Scienceにおいて「Potentiation of electromyographic activities of the plantar flexor by antagonist conditioning contraction and jump」というタイトルで発表する予定である.また,平成23年度からこれまでの研究発表や実験データをまとめ,複数の論文作成を行なっており,海外の学会誌に投稿予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は,拮抗筋条件収縮のメカニズムの解明,健常者およびマヒ患者での効果の検証,リハビリテーションやスポーツ選手のパフォーマンス向上など臨床への応用である. 平成23年度は足関節底背屈動作において筋出力,筋活動電位,誘発筋電図によるH波の解析を行った.その結果から,健常者での誘発筋電図の波形パターンや神経的要因の促通動態を観察することができた.また,健常者での神経的要因の観察も行うことができ,健常者における拮抗筋条件収縮パターンの文献的考察による構築も含め達成度はおおむね順調である. 平成24年度は拮抗筋条件収縮の臨床への応用を目的としたデータ測定を行い,健常者における立位動作による拮抗筋条件収縮の効果を神経学的観点から解析した.その結果,拮抗筋条件収縮での神経的要因での増強が示唆され,臨床への応用の可能性を示すことができ,実験計画における達成度は満たしていると考えられる. 平成25年度はマヒ患者での測定を行い,拮抗筋条件収縮による促通効果の検討やリハビリへの応用を検討していくとともに,スポーツ選手での測定を行い,パフォーマンスの向上や動きの変化,神経的要因の改善や向上に関するデータを取る予定である. 現在までのところ,健常者での臨床的データまで検証することが出来ており,研究の進捗状況は概ね順調であると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度では健常者における拮抗筋条件収縮による主動筋活動増強の神経的要因の一端を明らかにしてきた.平成24年度は拮抗筋条件収縮の臨床的効果を神経的要因から検討した.平成24年度から勤務校が変わったため,マヒ患者確保の困難や実験設備の不足から,研究計画を変更し健常者における拮抗筋条件収縮の臨床での応用を一般人やスポーツ選手を中心に行なう予定である.前任校と連絡を取り合い,マヒ患者での測定も行えるように調整していく予定である. 一般の健常者の臨床的データは採取できたため,今後はスポーツ選手を対象とした拮抗筋収縮による筋出力増強の即時的効果を,ウエイトトレーニングなど通じて行なっていく予定である.被験者は他の共同研究先の国士舘大学の体育会系学生を対象とする.それらの結果を国内外の学会で発表するとともに,論文作成を行い海外の学会誌に投稿していく予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は消耗品の購入を安価なものにしたことや,旅費の削減などにより約15万円の繰越があった.また,勤務校の変更があり,実験設備の不足しているため筋電図を購入した.それを踏まえ,平成25年度はデータ採取のための消耗品購入や被験者への謝金,解析用PCの購入,英文校閲の費用等に充てていく予定である.また6月の18th European College of Sport Scienceの学会参加の旅費に使用する予定である,
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Research Products
(3 results)