2011 Fiscal Year Research-status Report
実験動物ラットを用いた関節拘縮の病態解明とその治療に関する研究
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23700641
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Research Institution | Nagoya Gakuin University |
Principal Investigator |
渡邊 晶規 名古屋学院大学, リハビリテーション学部, 講師 (60460549)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 拘縮 / 関節構成体 / 病理組織 / リハビリテーション / ラット |
Research Abstract |
本研究は、実験動物ラットを用い、不動による関節拘縮の発生とその進行による関節構成体の変化を、形態・組織学的側面から明らかにし、その上で、関節拘縮に対する治療(物理療法及び関節包の伸長)を加え、その効果を上記と同様の側面から検討することを目的とした。 平成23年度にはラット膝関節拘縮モデルを作成し、関節可動域及び副運動(関節の遊び)の経時的な変化を計測し、あわせて不動化による関節構成体の変化を観察した。関節可動域は不動化期間に伴って増加し、8週間で約60°の制限を伴っていた。組織学的な所見からは、不動4週後から関節構成体の変化が観察され、不動8週後には一部で関節軟骨と増生した滑膜様の組織との癒着が生じ、関節腔の狭小化を認めた。関節包においては滑膜下層での脂肪の萎縮および線維増生を認め、コラーゲン線維束間の間隙の減少が観察された。これらの所見は先行研究とほぼ同様の傾向を示した。関節構成体である関節包に対する介入効果を検証するに辺り、どの程度の不動期間後に介入を行うことが妥当か明らかにできた。 関節可動域と同様に運動に必要不可欠となる副運動(関節の遊び)の測定は、後肢のみを取り出し、鋼線による十分な固定のもと一定外力を加えた際の関節面の移動距離を変位変換器により計測した。その結果、その動きは非常にわずかであり、バラつきが大きく変化が観察されなかった。このため、再度方法を見直し、不動による関節包コラーゲンの特性の変化を示す指標として、関節包が破綻するまでの外力を加え検討中である。これによる正常ラットを用いた結果からは、関節包の応力―ひずみ曲線をもとめ、治療介入としてのストレッチに適した強度を確認することができた。関節包組織の組織所見については、免疫染色を加えコラーゲンタイプ及び架橋の程度について検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
免疫染色での条件設定を検討するにあたり、想定していたよりも染色操作中での切片の剥がれが多く(関節の組織標本は硬組織と腔を含む軟組織を含んでいることが原因と推察)、その進行を妨げており、十分な結果が得られていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
遅れている免疫染色については引き続き検討を繰り返し、早い段階で条件設定を確立する。同時に研究計画に従い、拘縮モデルに対する治療介入を関節包のストレッチより開始する。後半は物理療法による治療の条件設定を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験動物、研究試薬等の研究消耗品に加え、治療介入を開始するにあたり必要となるセンサーおよび刺激装置を購入する。
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